2)齲歯のメカニズムと進行
「C」とは、dental caries(歯のカリエス=虫食い状態)の略。
第1度齲蝕(C1):エナメル質の浸潤時。無痛。
充填処置。悪くなった部分を削り、合成樹脂を流し込んで埋める。昔はセメントを流し込んでいたが、
合成樹脂の方が長持ち(数年間)する。
第2度齲蝕(C2):象牙質の齲蝕。この浅層が侵されても無痛。深層が侵されると、冷に
反応して軽度疼痛。
充填処置。悪くなった部分を削り、刺激が歯髄の方にいかないようにセメントで蓋をした後、合成樹脂
を流し込んで埋める。
第3度齲蝕(C3):歯髄の炎症を伴った齲蝕で、数分~持続性の疼痛となる。
歯髄炎、歯髄崩疽。歯科では、削って冠せる。
第4度齲蝕(C4):高度の齲蝕。歯冠の大部分が崩壊した残痕状態。無症状。
C3 の一部とC4 :歯髄ごと神経を抜く。歯髄を抜くということは、歯に神経も血管も行かなくなる
ということであり、歯全体が死んだ組織と同じになり、身体は異物と捉える。一方、歯の免疫作用もな
くなるので、より細菌が繁殖しやすくなる。現在では、抜歯はよほどのことがない限り行なわない。
3.歯肉炎
1)原因
単純な歯肉炎は、口腔内細菌や歯垢(プラーク)の沈着による。歯垢はすべて細菌の固まり
で、これが歯肉を刺激して歯肉炎となる。歯肉炎は永久歯が生えはじめた、6~7才の頃から始まる。
歯と歯ぐきとの境界を歯肉溝とよび、2㎜ほど陥凹している。これが病的に深くなったもの
を歯周ポケットとよぶ。歯周ポケットには歯垢のたまりやすい。このポケットの中で細菌の出
す毒や酵素が歯茎を刺激する。
歯磨きした直後、歯の表面はツルツルだが、しばらくたつと歯の表面はヌルヌルしてくる。これが歯垢。
2)症状
症状は歯肉の発赤、浮腫状腫脹、不快感。放置すると歯周炎に発展する。
4.歯周炎(=歯槽膿漏症)
1)歯周とは
歯周には、セメント質、歯肉、歯槽骨、歯根膜という4つの部分がある。歯根膜は、歯の
セメント質と歯槽骨を強固に結びつけ、かつクッション的役割もある。
2)原因
炎症が歯茎のみに限局してれば歯肉炎であるが、慢性の歯肉炎が深部に進行すると歯槽膿漏
になる。炎症が下の組織にまで広がって骨を溶かして吸収したり、歯根膜がなくなったり、
セメント質がやられたりした状態が歯槽膿漏である。
3)症状
歯肉のむずがゆさ、歯肉縁の発赤と出血、唾液粘稠性の変化、口臭といった症状を生ずる。
歯垢が歯の表面ではなく歯周ポケットにできると細菌にとって格好の住み家となる。歯槽膿漏の治療とし
て歯石除去は基本である。歯石とは歯垢が石灰化して固くなったもの。