筋膜とは
筋膜とは筋肉を覆っている膜のことです。
筋肉は筋繊維が集合して構成されています。
筋肉はミルフィーユのように層になっており、筋繊維の深層から浅層まで、何層にも渡りそれぞれ別の筋膜で覆われ、パスタの束のようになっています。
筋膜と筋繊維の集合体が筋肉であると言えます。
筋繊維は、それぞれの筋肉でまとまっています。
また筋膜は筋肉だけでは無く靭帯・骨・関節・内臓などすべての器官も包み込み、足の先から頭まで、全てを連結させ、支持、保護している膜組織です。「第二の骨格」と言われ、膜の張力により姿勢を維持する支えとなっています
筋膜には痛覚神経(痛みを伝える神経)が多くあり、筋肉の約10倍
筋肉はほとんど痛みを感じない 筋肉痛では無く筋膜痛
筋肉や骨自体には痛覚神経はほとんどなく痛みを感じないそうです。軟骨にいたっては神経がありません。
筋肉の痛みは、筋膜が異常を感じとり、痛みを発症させます
骨が折れても、肉離れをしてもすごく痛いのは膜線維です。筋は筋膜・骨は骨膜・軟骨自体には膜は無く周りを取り巻く滑膜等・腹部は腹膜で、すべて筋膜です。膜線維は身体の隅々まで包み込み身体の異常を感知し、神経線維に痛みを伝えるセンサー(痛覚受容器)が沢山存在しています。そして筋肉の損傷や骨が折れたりすると、取り巻く膜も捻じれたり破損します。膜の異常が痛みとして神経に伝わり脳に送られるのです。
筋膜には筋肉の約10倍もの痛みセンサーがあります。
腕や腰をストレッチしたり膝などを曲げ伸ばしすると痛みを感じるところは筋肉や関節の痛みではありません。筋膜の膜線維の痛みです。
筋線維が損傷しても数週もあれば修復されます。しかし修復期間が経過しても痛みが治まらない、それは筋膜が元の状態に修復されていないからです。筋肉が修復されれば痛みは治ると思っている方も多いと思いますが、痛みのセンサーは筋膜です。筋肉が硬いから治らないと闇雲にマッサージをしたり温めても一時的な効果しか望めません。筋膜には筋膜を標的とした治療が必要なります。筋肉が治っても筋膜が正常に修復されなければ痛みは取れません。また筋肉が損傷していても筋膜が治れば痛みだけは治まります。治療では筋肉・筋膜のどちらも治療します
筋膜連鎖と関連痛
常は伸縮性と粘弾性をもった筋膜ですが、ケガ・炎症・過度の使用・不良姿勢・不動などにより筋膜は伸縮性や粘弾性の低下や捻じれ・シワ・歪み・癒着など、性質や構造に変化が生じます
筋膜に癒着や歪みが起きると痛みを発症します。その筋膜は伸長性が無いため包まれている筋肉や関節も可動性が低下します。そのためにその場所はピンで止められた状態になり、筋膜の変化が修復されずにいると変化した筋膜は、他の筋肉が活動すると布地のように他の筋膜が引き込まれ癒着や歪みが新たに形成され痛みが広がります。この様な現象は筋膜連鎖反応と言われています
筋膜は筋肉と違い、隣の筋肉に連続して繋がったり、近くの骨や靱帯に繋がることで、身体全体を覆っています。
この連続した筋膜の繋がりを筋膜ラインと呼び、身体の運動連鎖や、関連痛といった身体の痛みに大きく関わってきます
特定の筋肉の機能不全から別の場所に痛みが出ることを関連痛と呼びます
関連痛は関節、靭帯、筋筋膜のトリガーポイントから発生します
神経からの痛み(足や手に走る痛み)と全く違うもの。
筋膜は硬くなりやすく、筋活動が少ない場合特に硬くなります。
運動不足な人は筋活動が少なくて筋膜の収縮が行われないので、そのまま硬くなってしまいます。
硬くなった筋膜は筋肉の機能不全を起こす原因にもなり、同じ筋膜ラインに影響します。
筋膜癒着
筋膜同士がくっ付いてしまうことで、癒着により筋膜間のスライド運動や個別の運動に障害がおき運動機能の低下や痛みを発症させます。癒着が起きる主な原因としては
1. 動かさない(安静位)
動かさないとは同じ姿勢でいることや痛みにより動かさないことだ
けではなく普段の生活や運動などで使われていない部分も癒着をおこします
2.ケガ・損傷・手術
3.炎症
癒着がおこると隣接した筋膜の活動性も阻害され時間の経過と伴に範囲が広がります。慢性疾患においては癒着が高度の場合も多く症状を固定化します。形成された癒着は自然には治りにくく癒着には癒着に対する治療が必要不可欠となります
筋膜の変化
伸縮性の低下した筋膜に包まれている筋肉は束縛され収縮運動の低下を招き硬くなり、リンパ液の還流や血液循環の障害を引き起こします。
筋膜の変化は時間経過と伴に水分脱失や無秩序な線維化・肥厚が進み伸縮性や弾粘性をさらに失い固定化します。痛みの広がりや機能低下が進み慢性疼痛という道筋をたどる。
これは筋肉だけの事ではなく、関節・靭帯など膜組織に覆われたすべての場所に起り得ます。
固定化された筋膜はマッサージや温熱治療を施しても一時的緩和は望めますが線維配列や癒着が改善せれないため、すぐに症状は戻り繰り返しの治療を余儀なくされます
筋膜の治療はリリース(解除する)という考えが必要になります
習慣と歪み
姿勢が悪い・背骨が歪んでいる・片方の肩が前に出ているなどは、仕草や癖が習慣となり形状がつくられます。一端出来あがった形状は直そうと思っても違和感を感じたり無意識のうちに元の形状に戻ってしまいます。姿勢などの形状が変わりにくいのは骨や筋肉ではなく筋膜によるものです。筋膜には形状記憶合金のような形態記憶性があるのです。
筋膜と歪み
押したり引っぱったりストレッチしても元の形状に戻るのは筋膜の形態記憶性があるからです。仕草や癖がやがて習慣となり形状を新たに書き換え記憶してしまいます。背骨の歪みやストレートネック等も悪い習慣により書き換えられた筋膜の形態記憶性によるものです。筋膜の形状を書き換え記憶させるのは非常に緩徐で時間が掛かります。ストレッチや生活習慣だけで変えようとするとかなり日数が掛かります。治療による筋膜リリースで時間は短縮できます。
リハビリ
過度な安静や固定することで筋膜や繊維質は不動となり張力や負荷が掛からないため乱れた線維は復元されにくい。動かさない事により線維組織はより不規則な物となりコラーゲン線維を増殖させ線維質を増やします。身体には動かさない所は線維質で固めようとする性質があるからです(廃用性拘縮)。線維は動かしながら治療することで張力や負荷がかかり配列が整った柔軟性のある丈夫な組織に修復される。
筋膜リリース
筋膜リリースを正しく行うことがトリガーポイントを発生させない一つの活動です。
硬くなってしまった筋膜は筋膜リリースで緩めなければなりません
ストレッチは縮まった筋肉に対して行うべきものです
筋膜は、筋が伸びた状態でも硬くなります。
筋膜は、筋が弱いから緩いのではなく、伸びたまま硬くなってる状態です。
縮めようにも筋膜が硬くて伸びきったゴムのように縮ませにくい。
この状態で、ストレッチをすれば、猫背の背中の筋肉は長くなっていますので、それ以上伸ばしたら猫背が悪化してしまうという悪循環がうまれ、猫背は改善しません
ストレッチで筋膜をリリースするというのはあまりお勧めできません。
ストレッチは基本的に筋肉を伸ばすもので、筋肉中の硬い繊維が伸びてくれません。
機能不全の状態の筋繊維を起こしてやり、適正な長さに戻す必要がありますので、筋膜に対しては筋膜リリースを行います。
筋膜リリースは筋に対して圧をかけます。トリガーポイントツール
トリガーポイントの鍼で直接 筋膜 腱をリリースします
これが痛いです。痛いところはトリガーポイントです。
トリガーポイントは筋繊維の収縮を妨げ、隣の筋繊維の活動も悪くします。
筋膜リリースを正しく行うことでトリガーポイントを消失させ、筋活動を向上させることができます。
さらにトリガーポイントから起こる関連痛を改善します。
筋膜性疼痛症候群(トリガーポイント)
筋膜は筋肉を覆っているだけでなく骨、関節包、靭帯、腱、筋、臓器、血管、神経、リンパ系(免疫)などを覆い、繋げ、包んでいる薄い皮(線維性結合組織) 筋膜は筋肉のカタチを保ち伸縮を助ける重要な膜ですが、悪い姿勢や反復動作でよじれて硬直します。
筋膜が癒着したり肥厚するなど機能的器質的に変化した部位にトリガーポイントも生じやすい
筋膜性疼痛症候群(MPS)、トリガーポイントが原因不明の痛みやしびれ・腰痛や肩こり、関節痛、神経痛の原因だとされています。
痛みやシビレの原因となる筋膜のよじれや硬直、癒着を招きうる主な原因として考えられるのは
・座りっぱなしなどの長時間の不動状態
・家事や労働など反復動作・悪い姿勢 ・使い過ぎ
・体の冷え・体を圧迫するキツイ服装 ・怪我や手術 ・体の使い方
筋肉やそれを取り巻く結合組織(筋膜)に反復動作や持続姿勢が加わったり、寒冷で血行の悪い状態を作ると、筋肉に微小な損傷や浮腫炎症が起こり、筋膜が弾力性を失い筋膜のよじれや癒着が起こります。
同時に筋膜の豊富な感覚受容器は過敏になり、トリガーポイントとなって持続する慢性痛に関与してきます 慢性痛の痛みやシビレの7-8割は筋膜のよじれや硬直で起こっていると言われています。
一次的な原因が筋肉損傷でも関節炎症でも神経炎症でも、2次的に増大した筋緊張の影響を受けた筋膜はヨジレや硬化、癒着などの問題が起きるということです。不動や反復動作なども良くありません。
1次的に生じた筋膜の異常だけでなく、関節や椎間板の問題からも筋筋膜の弾力性や可動性の異常やトリガーポイントを形成していることは多く、それだけ影響の大きい組織です。
痛みやシビレが慢性的な場合には筋膜やトリガーポイントをリリースすることが重要です。