4)歯科治療
「歯みがき」「プラークコントロール」「外科処置」が基本である。しかしこれらは菌の数を
減らすことが目的であって、歯周病の原因となる菌の数を減らすことはできても完全に消し去る
ことはできないので、再発を繰り返しやすい。
そこで歯周病を起こしている原因菌を特定し、その原因菌に作用する薬剤を服用することで、
歯周病を治療する投与する方法が数年前から一部の歯科で実施されている。
原因菌には、カンジダ、スピロヘータ、運動性桿菌の3種類で、とくにスピロヘータが問題と
なる。スピロヘータは、歯肉の中で毒素をまき散らしながら増殖する、細いミミズのような細菌
で、口臭の原因にもなる。
スピロヘータを殺すには、抗菌剤ジスロマックという薬を内服するが保険外医療となる。最
近では耐性ができて、以前より効き目が少なくなったとする意見もある。
梅毒とスピロヘータ:通常、歯周病菌の検査で検出されるスピロヘータは、口腔内の常在菌
の一種で、活動性が高い、細長い、螺旋構造を持つ菌をいう。梅毒の原因であるスピロ
ヘータとは形状が似ているだけで関係がない。
5.智歯周囲炎
第3第臼歯(=親知らず)は下顎骨の成長が止まる20歳前後に萌出するため、位置異常、方
向異常をきたし、不完全萌出や埋伏しやすい。この炎症は開口障害、嚥下困難等の症状を起こす。
6.象牙質知覚過敏
歯の表面部分のエナメル質が何らかの原因で傷つくと象牙質が露出し、歯髄神経が露出した状
態になる。そこに酸などの刺激が加わると、歯がしみるようになる。
エナメル質が傷つく最多の原因は、力任せの歯磨き習慣である。歯科で歯石(プラーク)を除
去した直後は象牙質が露出した状態になるので知覚過敏が生ずることもある。
最新の治療は、象牙細管を薄い被膜で封鎖するとともに、歯のエナメル質の再石灰化を促進す
る作用のあるパッチを貼る。被膜の耐久性は約6カ月。
歯科領域の鍼灸治療
1.鍼灸の適応について
歯の激痛に対して、針灸で止痛させることは困難である。しかし歯がなんとなくうずく、歯
が浮いて強く咬合すると痛む、風呂上がりなど温まると痛む、歯茎が痒いなどには適応となる。
要するに原発性歯痛を除く歯痛が適応となる。なかでも最も鍼灸が適応となるのは、放散性
歯痛である。歯肉の充血も鍼灸の適応である。
2.歯痛の治療
1)局所治療
柳谷素霊著「秘法一本針伝書」記載の、上歯痛には客主人移動穴刺針、下歯痛には裏大迎刺
針が有名である。上歯痛は三叉神経第2枝、下歯痛は同第3枝の興奮であり、ゆえにこの神経
に対してできるだけ根部を刺激することを考える。