1)梨状筋上孔 上殿神経と上殿動・静脈が出る。 上殿神経は、中殿筋・小殿筋・大腿筋膜張筋を運動性に支配する。 上殿神経麻痺→トレンデレンブルグ徴候
2)梨状筋下孔 ①坐骨神経が出る。大腿後側と下腿以下の運動と知覚の大部分を支配する。 ②下殿神経と下殿動・静脈が出る。下殿神経は、大殿筋を運動性に支配する。 下殿神経麻痺時→椅子から立ち上がる動作が困難になる。 ③陰部神経・内陰部動静脈→小坐骨孔に入り、陰部を支配 梨状筋上孔と下孔を通るもの:上皇(梨状筋上孔)は上殿様(上殿神経)と、 下皇(梨状筋下孔)は下殿様(下殿神経)と銀(陰部神経)座(坐骨神経)へ
3)小坐骨孔 梨状筋下孔から骨盤外に出た陰部神経が、再び骨盤内に入る。
仙骨神経叢の構成
仙骨神経叢は第4 腰神経~第5 仙骨神経の前枝から構成され、次の神経が出る。
1)上殿神経(L4~S1):梨状筋上孔から中殿筋・小殿筋・大腿筋膜張筋を運動支配
2)下殿神経(L5~S2):梨状筋下孔から出て、大殿筋を支配
3)後大腿皮神経:梨状筋下孔を通り、大腿及び膝関節後面の皮膚に分布し、臀部と会陰へ分布 する枝も出す
4)坐骨神経(L5~S2):梨状筋下孔から大腿後方に出てる。、大腿二頭筋長頭と大内転筋の間を 垂直に下行、大腿屈筋群(大腿二頭筋・半膜様筋・半腱様筋)と、大内転筋の一部を支配。 膝窩の上方で外側の総腓骨神経と内側の脛骨神経に分枝する。
下肢症状、とくに下腿以下の痛み・知覚鈍麻の訴えでは、まず坐骨神経痛を考える。 坐骨神経痛の分類は次の通りである。
坐骨神経痛 根性坐骨神経痛:腰椎椎間板ヘルニア
非根性坐骨神経痛 大腰筋症候群 梨状筋症候群
腰椎椎間板ヘルニアの病態
後頭骨-C1間とC1-C2間を除く椎体間には椎間板があり、重量負荷の際のクッション の役割がある。椎間板は中心にゼリー様の髄核があり、その周囲を線維輪が取り囲んでいる。 衝撃や老化などで線維輪に亀裂ができると、髄核はその亀裂から外に脱出する。飛び出した 髄核や隆起した線維輪により神経が圧迫されたことで、神経痛などの種々の症状が起こる。 なお50才以上では髄核はチーズ状に脱水してくるので髄核の脱出は起こらない。 脊髄神経後根の圧迫や破壊によって生ずる激しい神経痛様疼痛をもたらす状態を神経根症とよぶ。 末梢神経は、発達した神経周囲膜と神経上膜をもつことで、圧迫や牽引などの機械的ストレスが及びにく いのに対し、脊髄神経根(髄液中に浮いて存在)は、このような皮膜がないので、末梢神経よりも機械的 外力に弱く、浮腫を起こしやすい。浮腫→組織圧上昇→神経線維の脱髄→脱髄部から自発性興奮が出て自 発痛が起こる。脊髄神経後根の圧迫だけでは痛みは出ない。
分類
線維輪膨隆型と、髄核脱出型(線維輪亀裂から髄核脱出)に大別される。いずれも神経根を 圧迫する。髄核脱出型の方が症状は強いが髄核は自然吸収されやすく、自然治癒しやすい。 腰椎椎間板ヘルニアは20~40才の男性に多い。ヘルニアはL4-L5椎体間(L5神経 根)間に最も多く、次にL5-S1椎体間(S1神経根)間に多い。 後縦靱帯があるので、髄核が後正中方向に脱出することは少ないが、髄核脱出型の一部には、 そうした中心性ヘルニアもある。中心性ヘルニアにより脊髄を圧迫を生じた場合、両側性の腰 下肢症状だけでなく、膀胱・直腸障害が起こるので手術の対象となる。
3.症状・所見:腰痛、坐骨神経痛、疼痛性側彎