ウィリアムズ体操
腰痛体操の代表。腰仙角を減少させて骨盤の後傾を促し、また腹筋の強化を目的とする。 3ヶ月以上継続して実施させる。
①両膝を曲げゆっくりと上体を起こし、腹筋を強化させる。 ②両手を腹の上で組み、殿筋を収縮させ骨盤を持ち上げる。 ③膝を腋窩に近づけるように十分に曲げ、背部の伸筋群および腰仙椎後面の筋膜や靱帯を他動 的に伸展する。 ④3と同じであるが、さらに大腿後面の屈筋群を伸ばす目的で行われる。 ただし、④の運動は、神経根刺激症状のある者には禁忌。 ⑤両肘を伸ばし、片方の膝を曲げもう一方の膝は伸ばしたまま体重を前下方に移すようにして、 大腿筋面の組織、すなわち大腿筋膜や腸骨大腿靱帯を伸展させる。 ⑥両下肢を離して立ち、両踵を床から離さないようにして起立したり、しゃがむことを繰り返 す。
殿部皮膚の知覚支配 上殿部は上殿皮神経、仙骨外縁部は中殿皮神経、下殿部は小殿皮神経が知覚支配する。これらの皮神経が興奮すると、支配領域の痛みを感じるが、患者自身は皮膚の痛みであることを認 識していない。皮膚痛であることは、撮痛で確認できる。
①上殿皮神経:L1~L3後枝の別称。上殿部皮膚に分布することからこの名称がある。
②中殿皮神経:仙骨神経後枝の別称 ③下殿皮神経:後大腿皮神経の分枝。後大腿皮神経は仙骨神経叢(S1~S3)から起こる。
大・中・小殿筋の位置と作用 1)大殿筋 腸骨仙骨外縁と大腿骨を結ぶ。股関節伸展作用。下殿神経(仙骨神経叢の枝)支配。 2)中・小殿筋 腸骨外縁と大転子を結ぶ。股関節外転作用。 上殿神経(仙骨神経叢の枝)支配。
殿部筋緊張
下肢症状を伴う殿部痛では、まず坐骨神経痛を考えるが、殿部痛単独の場合には、上殿神経ま たは下殿神経の興奮を疑う。上殿神経や下殿神経は運動性の神経であり、支配筋の緊張状態、そ してトリガーポイントを形成することがある。
1)上殿神経興奮 基本的には中・小殿筋や大腿筋膜張筋の緊張状態となるが、関連痛が下肢に出現することも ある。 中・小殿筋のコリは、変形性股関節症時に出現しやすい
2)下殿神経興奮 下部大殿筋の緊張症状、すなわち殿部中央から坐骨結節付近の緊張出現。大殿筋緊張では、 これをトリガーとする大腿後側の殿溝中心とした疼痛が出現することがある。
仙腸関節
自宅養生法
骨盤矯正ゴムベルト療法を実施させる。 ゴムバンドを仙腸関節の上に親指を入れて動かせる程度のきつさで巻く。肩幅程度に足を広げて立つ。腰を水平に、大きく円を描くようにゆっくり回す。朝晩2回、左回しを右回しを各50回行なう。腰を回す時、膝をあまり曲げず、足を浮かさず回すのがコツ。 仙腸関節のマニプレーション 仙腸関節のズレには、マニプレーションを試みてよい。
AKA療法(関節運動学的手法)では、ズレの方向を分析し、これに適合する矯正をする方法が考案されている。