先天性内反足
1)概念:後足部が下腿に対して、内方に屈曲する変形。両側性が多い。男児に多い。
女児は先股脱、男児は先天性内反足が多い。絶対数としてはでは先股脱が多い。
2)症状:尖足、内転足、内反足、凹足(扁平足の逆になる)
3)治療:徒手矯正後、ギプス固定
外反母趾
1)定義
母趾が中足趾節関節(MP関節)で外反し、第1中足骨が内反し、外側に「く」の字に曲がる病態。中足基節関節角が15度以上を外反母指とする。初月経期と更年期の女性に多い。
2)病態生理
①ハイヒール等による母趾中足骨の体重負荷、または女性ホルモン分泌低下に伴う背側・底側中足関節の靱帯の緩みが原因となって横アーチが崩れ、足幅が広がる。これを開張足とよぶ。
②先細の靴を履くことで母趾が外反。
③母趾MP関節が突出し、靴との接触で母趾MP関節内側部が滑液包炎(=バニオン)となり、
発赤して腫脹する。
④外反母趾になると歩行時に足趾の体重負荷ができにくくなるので、とくに第2趾MP関節底部で体重を支持するので圧痛や自発痛が出現しやすい。
3)治療
治療は、扁平足と回内足の矯正靴を用い、重症では外科手術。
鼻緒のついたサンダルを履くことで足趾屈曲力の強化と足の横アーチ回復を図る。
4)鍼灸治療
①母趾内転筋の強化
短母趾内転筋の筋力低下は、開張足を招くので、鼻緒のある履き物が推奨できる。短母
趾内転筋のトリガーは足指の基節骨部や、足母趾球の内縁と後縁側に放散痛が出現するので、圧痛点に細針で施術する。これが外反母趾の予防にもつながる。
②刺針
深腓骨神経は、母趾外側と第2趾内側の知覚に関与し、短趾伸筋・短母趾伸筋などに運動枝を出す。足関節背面の距骨上には、内側に長母趾伸筋腱、外側に長趾伸筋腱があるので腱を避けて刺針する。足背動脈を避けて刺針する。
浅腓骨神経、伏在神経支配は、施灸などの皮膚刺激で、これらの神経を刺激できる。
③長母趾屈筋腱の矯正
外反母趾の者は、足母趾の底屈力が低下していることが大半で、足指で床をつかむ動作
がしにくい。すなわち長母趾屈筋の筋力低下がある。足の横アーチが減少しているので、中足骨底で体重を支えている。この場合、足の指の付け根の骨(第1中足
骨の頭)を矯正すると母趾底屈力は強くなる。痛みは通常1回で改善する。ただし外見
(外反母趾の変形)はあまり変化がない。短母趾屈筋の影響もある。