④母趾内転のテーピング
外反母趾患者の苦痛の大半は変形ではなく靴を履いた
時の疼痛である。ただし変形した結果、痛みが出現して
いるので、テーピングによって足指の形や横アーチを整
えることで、痛みなしに靴が履けることは有意義であ
る。
ただしテーピングは疼痛対策になっても変形自体を治す効果は期待できない。また外反母
趾の程度が強すぎるものはテーピングでは是正しきれない。
⑤長母趾屈筋の強化訓練
長母趾屈筋の筋力強化にはタオルギャザー訓練が行われている。タオルギャザーとは、椅
座位で、床にタオルを敷き、その片端を足指でつかむようにする動作で、これを連続するこ
とでタオルを手前にたぐり寄せる訓練である。履物には、下駄やゾウリなど鼻緒のついたも
のを使うようにする。
足根管症候群
1)病態
内果後下部において、屈筋支帯の下の足根管を、脛骨神経・脛骨動静脈・後脛骨筋・長趾屈
筋、長母趾屈筋が通過している。この足根管の狭窄により、脛骨神経末端の、外側足底神経や
内側足底神が圧迫された状態。
2)症状
脛骨神経絞扼部より末梢、すなわち外側・内側足底神経走行部(足と足趾の底側)の灼熱
痛、骨間筋の機能低下、足趾の内・外転や屈曲力の低下。
3)鍼灸治療
外傷や浮腫や腱鞘炎による圧迫であれば鍼灸が効果ある可能性があるので、足根部あたりの
圧痛点に置針する。
後脛骨筋腱と長趾屈筋腱の間。
深部を脛骨神経が走る。皮膚知覚は伏在神経支配。
脛骨神経→内側・外側足底神経刺激。
踵骨上で、踵骨隆
起の前の陥凹部。内側踵骨枝神経(脛骨神経の枝)刺激となる。
足底筋膜炎
1)病態
足底の筋は、表在性の足底筋膜に覆われている。足底筋膜
は踵骨隆起から起こり、足の指に至って、足底の縦のアーチ
維持に貢献している。
過度の足底筋膜に加わる張力の反復により、足底筋膜に付
着部の牽引ストレスが作用する。また足底筋膜の微小断裂を
起こす。この微小断裂は、夜間就寝中に治癒機転が働いて固
くなる。しかし朝、固まった損傷部に体重が加わると、再び
引き伸ばされて激痛となる。長距離の選手に多い。
痛みの直接原因は脛骨神経末端の興奮によ
る。
①脛骨神経内側踵骨枝刺激
歩行開始時や走行中に、踵に近い部分が、
ビリビリと痛む。踵骨前方の圧痛。
②内側足底神経刺激:母趾背屈時の足底痛。
3)所見:X線で、足底部の踵骨内前方に骨棘。
4)整形治療
整形での治療は安静。ときに筋膜付着部への局麻注射を行う。
スポーツ再開までには、数ヶ月の安静が必要。(治癒まで半年以上かかる例が10%ある)