顔面神経側頭枝
頬骨弓中央の下縁陥凹部。直刺。パルス通電しながら深度を少しずつ深め、唇や
頬が最も振動する処に針を留める。
深刺すると、咬筋→外側翼突筋に刺入され、三叉神経の第2枝または第3枝に当たる。
3)その他の末梢枝
前頭筋(額に横シワをつくる)
皺眉筋(眉間の縦シワをつくる)
眼輪筋(閉眼)
眼を開けるのは上眼挙筋(動眼神経)
口輪筋(口笛)
頬筋(頬ふくらまし、頬側面の食
物を追い出す)
笑筋(口角を外方に引きエクボを
つくる)
上唇挙筋・泣く:上唇・鼻翼を引き上げる)
小頬骨筋(泣く:上唇・鼻翼を引き上げる)
大頬骨筋(笑う:口角を外上方に引き上げる)
3.星状神経節刺針
顔面部の血流を改善させることで、自然治癒カの増強を図る目的。
4.鍼灸治療効果の目安
①N.E.T.(神経興奮性検査)で、異常を認めるものは治癒率が悪い。
②発症後、3か月過ぎているものは治癒率が悪い。
③新鮮例(発症2週間以内)のベル麻痺は、90%治癒。
④治療は、頻回行うほどよいので、最初は毎日または隔日治療とし、改善の進行につれて週2回、
さらには週1回というように、間隔あけていく。
⑤ハント症侯群の場合には、一層頻回に治療をおこなう。ベル麻痺に比べて治療効果はさがる。
5.低周波針治療の問題点
顔面神経麻痺で、軽症の場合は電気・低周波刺激をやらなくてもきれいに治り、重症の場合は
電気刺激や低周波刺激をすることによって後遺症が重症化(病的共同運動=閉眼すると口の周り
が動く・口を動かすと目が閉じるなど)する可能性があることが専門医により指摘されている。
6.顔面麻痺の評価法
顔面麻痺の評価として、「40点柳原法」が広く普及している。顔面の主な表情を10カ所
選び、4点=健側と明らかな差がない、2点=筋緊張と運動性の減弱、0点=喪失とする。
30点以上は正常、8点以下を完全麻痺と評価する
三叉神経痛の鍼灸治療
1.三叉神経痛の鍼灸治療の適応性
三叉神経痛は、脳幹付近の血管移動手術を行えば、そのほとんどが完治可能となった。しかし
手術するまでもない軽い痛みや高齢者で手術には不適の場合、あるは頭蓋外での神経圧迫であれ
ば、神経ブロツクと同程度の価値が、鍼灸治療にも存在する。
2.痛みの強い時期の治療
三叉神経痛では非常に顔面皮膚が過敏になっており、顔面部に刺針できないことも多い。刺針
で痛みが誘発する場合もある。症状の強い時には、後頭部や顔面に関係する手足の要穴などを用
いて、症状の軽減を図るのがよいとされている。