アキレス腱周囲炎
1)病態
アキレス腱は、腱傍組織(パラテノン)という鞘のような膜に覆われている。この腱傍組織は腱を保護し、腱の滑りをよくする働きある。過度の足首の運動では、この腱傍組織が周囲組織の摩擦運動により痛みや機能障害を引き起こすことがある。スポーツでは長距離ランナーが圧倒的に多い。
2)症状:アキレス腱炎とほぼ同じ。圧痛は腱の内側または外側に限局している。
3)治療:急性症では2週間、慢性的に痛い場合は6週間の休養が必要。治療は湿布や低周波が一般的に行われている。
4)鍼灸治療:アキレス腱炎と同じ
4.アキレス腱滑液包炎
袋状で潤滑油が入ったクッションの役割をする滑液包の炎症で、踵部のの皮膚とアキレス腱の間(アキレス腱後滑液包炎)、またアキレス腱と踵骨の間(アキレス腱前滑液包炎)に起こる。
スポーツ活動以外でも起こり、比較的若い女性に多くみられる。ハイヒールのような全体の細い靴や、かかとの部分が硬い靴では、踵後部の軟部組織が機械的に刺激される。
症状は主に踵後部の腫れと熱感である。針灸治療はアキレ
ス腱炎と同じ。
5.アキレス腱付着部症
踵骨上のアキレス腱が慢性的に牽引されることが原因で、座ることが多い生活習慣,肥満,運動選手の酷使から起こる収縮または短縮した腓腹筋が要因である。
アキレス腱の踵骨付着部は2相性になっていて、中央部の線維は踵骨隆起中央部に、側方部の線維は踵骨の内外側に扇形に開いて付着している。圧痛を示すのは骨隆起の先端の内側または外側である。
シンスプリント(過労性骨膜炎、疲労性脛部痛)
1)病態
Shinは脛、Sprintsは短距離走の意味。すね
筋の過使用による付着部腱炎・下腿筋膜炎・骨膜炎の総称。とくにヒラメ筋の起始部、ヒラメ筋のアキレス腱移行部、後脛骨筋の部の炎症または骨膜炎をいう。
2)症状
短距離走を中心とするスポーツ選手が、運動中にみられる、下腿内側の中部~下部に起こる痛み。陸上競技選手に好発。運動すると脛骨の中心からやや下の内側に痛みが出る。局所圧痛(+)。障害筋をストレッチすると痛みが誘発できる。運動休止すると症状は消失する(ひどい場合には安静時にも痛む)。
3)鍼灸治療
症状部筋部に刺針する。障害筋の伸張を制限するテーピングを併用する。治療中は運動練習を休ませる。
(平均罹病期間4.6週)に針灸を行い、平均治療期間28日、平均治療回数4.4回