低血圧症 1.低血圧の概要 1)定義:最大血圧が100㎜Hg以下のもの ショック=収縮期8 0㎜Hg以下 2)低血圧の分類 症候性低血圧症低心拍出量:大動脈弁狭窄、僧帽弁狭窄、ショック 内分泌異常副腎皮質機能低下:アジソン病 下垂体前葉機能低下:シモンズ病 甲状腺機能低下症 薬物副作用:降圧剤など 起立性低血圧症シャイ・ドレージャー症候群 交感神経系の調節障害:糖尿病性神経炎、脊髄癆、脊髄空洞症 老人性起立性低血圧 本態性低血圧自覚症状(+):自覚症状軽減を目的に治療 (人口の1~2%) 自覚症状(-):体質的低血圧(病気ではない) ①アジソン病 原因:副腎皮質機能低下による、アルデステロン分泌↓、糖質コルチコイド分泌↓、 副腎皮質アンドロゲン分泌↓ 症状:色素沈着、低血圧、高K血症 分泌低下← 副腎皮質のホルモン→ 分泌亢進 アルドステロン(電解質に作用) 原発性アルデステロン症(高血圧、低K) アジソン病 (低血圧、低血糖糖質コルチコイド(糖質代謝) クッシング症候群 高K血症) (高血圧、中心性肥満、高血糖、低K) 副腎皮質男性ホルモン 副腎髄質のホルモン→ 分泌亢進 アドレナリン(心拍亢進) 褐色細胞腫 ノルアドレナリン(末梢血管収縮) (変動性高血圧、若年者、基礎代謝↑) ②シモンズ病 原因:下垂体前葉機能低下による、成長ホルモン分泌↓、各種刺激ホルモン分泌↓ 症状:悪液質
3)鍼灸に来院する低血圧症 鍼灸に独歩来院できる慢性症で、常見疾患という条件ではつぎのようになろう。 低血圧値 徐脈、寒がり、色黒→甲状腺機能低下症 元々は高血圧で降圧剤本態性低血圧 2.起立性低血圧症 1)定義 起立時の低血圧(上が100以下)により、脳貧血症状(めまい、視力障害、ときに 失神)が生ずる病態。起立によって、収縮期血圧が21m Hg以上低下するならば起立性低 血圧としてよい。激しいものでは上の血圧が40m Hg以上降下する。 2)病態生理 臥位や座位から急に立位となる時、重力の影響で血液は下半身に下がる。すると脳 貧血が生ずるとともに、心臓へもどる血液が減少し、心臓から打ち出される血液量が 減少して一過性の血圧低下を起こす。ただし通常は自律神経の調整作用により、起立 時には頸動脈球、圧受容体からの刺激が血管運動神経中枢へ達し、瞬時に手足の末梢 小動脈血管壁を収縮させたり、心拍数を増やすことで心臓に戻る血液を増やし、血圧 を上昇させる。つまり交感交感神経緊張不全の時に起立性調節障害が起こる。 3)起立試験シェロンテスト 起立時の収縮期血圧が3 0mHg以上低下すると、立ちくらみが出やすくなる。本試験 で降圧の程度と脳貧血や失神などの循環不全の出現を調べる。 ①方法 a)安静臥位で血圧と脈拍を測定。 b)10分間起立させ、その間1分ごとに血圧と脈拍を測定 c)再び臥位にして血圧と脈拍が前値に回復する状態を測定 ②評価:起立時に上が20~40mHg以上降下したものを陽性とする。 a)脈拍数増加:交感神経性起立性低血圧 静脈収縮が不十分なために静脈系に血液が鬱滞する。動脈の収縮は十分に行われる。 この型では、起立によって最高血圧低下・最低血圧上昇・頻脈がみられる。 b)脈拍数不変:非交感神経性起立性低血圧 動脈収縮が不十分で、最高血圧と最低血圧がともに下降し、頻脈はみられない。 脈拍数増加型と比べ重症で、シャイ・ドレージャー症候群はこれに属する。