1)概念:骨強度が低下している状態。「骨強度」は骨密度(骨の量的強度)と骨質(骨の質的強度)の二つの要因からなり、骨強度=骨密度×骨質で表される。骨組成自体は正常。 従来から骨粗鬆症の治療には、骨の中にカルシウムがどれだけ詰まっているかを示す「骨密度」を高めることが重要視されてきた。しかし現実には骨密度が高くても骨折を繰り返す高齢者は多かった。 そこで骨の成分の50%を占めるコラーゲンが注目された。コラーゲンは骨の中に「網目状」に張りめぐ らされていて、そこにカルシウムが結合して骨が形成されている。建物で言えば、コラーゲンが鉄筋、カル シウムがセメントにあたる。カルシウムが十分でも、コラーゲンがしっかりと張りめぐらされていないと、 骨は強くならない。
2)症状・所見 易骨折(脊椎圧迫骨折、大腿骨頸部骨折、 橈骨下端骨折が多い)、 魚椎変形(椎体が凹レンズ様になる変形)
3)分類 ①低回転性骨粗鬆症(原発性骨粗鬆症):骨吸収・骨形成ともに減少しつつ骨量減少。老年性 ・閉経後骨粗鬆症 ②高回転性骨粗鬆症(続発性骨粗鬆症):骨吸収・骨形成ともに増加しつつ骨量減少。 甲状腺機能亢進症など。
4)診断 骨密度:骨密度1.0g/㎝3以下が異常。50才以上の女性25%、60才以上の女性50%が骨粗鬆症。 骨量:骨代謝マーカー(骨吸収マーカー→破骨細胞が古い骨を吸収する度合いを調べる。 骨形成マーカー→骨芽細胞が骨形成する度合いを調べる) 5)一般治療 Ca剤や、活性ビタミンD剤(腸管からカルシウムとリンの吸収促進)はほとんど効果ない。
①ビフォスフォネート製剤:新薬で、破骨細胞機能を抑制する。本剤の誕生により、高齢者で も骨量の回復が可能になった。商品名はベネット錠など。消化管からの吸収が悪く、副作 用として胃腸障害があるが、胃薬を同時服用して軽減できるという。
②エスロロゲン製剤:女性ホルモン剤。更年期女性で、骨からCaが溶け出すのを抑える。 ホルモン補充療法として実施。
③B6・B12・葉酸:「骨質」が低い人には、血液中にビタミンB6・B12・葉酸が少ないという共通性があり、これらを補うことで改善されることがわかっている。
椎間関節症の好発部位
椎間関節の関節面の傾きが脊柱の可動性を決定している。各椎体間は、以下の可動性をもつ。 たとえば頸の前後屈を行う場合、頸椎は回旋可能だが胸椎は回旋不能なので、力学的ストレス がC7/Th1の椎間関節に加わる。(実際には、全胸椎部における椎間関節や肋横関節にストレ スが作用する) 上体の回旋を行う場合、頸椎と胸椎は回旋が可能であるが、腰椎は回旋不能なので、力学的 ストレスがTh12/L1に加わる。同様に上体の前後屈でのストレスは、L5/S1の椎間関節(腰部 屈曲の75%がL5/S1で、25%がL4/L5間で起こる)。これらが椎間関節症の好発部位になる。 頸椎: 回旋○ 屈伸○ 胸椎: 回旋○ 屈伸× 腰椎: 回旋× 屈伸○ 仙椎: 回旋× 屈伸×