頭痛の鑑別診断
急性頭痛 R/O 髄膜刺激症状(+)→頭蓋内症 R/O 頭部強打:硬膜外血腫 慢性頭痛へ R/O 薬剤との関連→投与した医師に相談 R/O 眼鼻歯の症状→原疾患の治療 R/O 生理との相関または閉経期→婦人科型頭痛 ありなし (月経前緊張症、更年期障害) 拍動性の痛み R/O 鬱病 R/O 常習性便秘 片頭痛 はい 締めつけ様の持続的な痛み→ 緊張性頭痛 いいえ↓ はい 後頭部を中心としたビリビリした断続的な痛み→ 後頭神経痛 典型片頭痛 普通型片頭痛 群発性頭痛 緊張性頭痛 発症年齢10 ~ 20 才台10 ~ 20 才台20 ~ 40 才台すべての年齢 性別女>男 女>男 主に男 男=女 前駆症状 閃輝暗点、視野狭窄なし なし なし
1.後頭神経痛の鍼灸治療 対症治療の目標は興奮した神経の鎮静させることである。
2.緊張性頭痛の鍼灸治療
頭痛症状部の筋緊張部に施術するほか、症状部に頭痛をもたらしているトリガーポイントにも 施術する。障害筋の中心は、後頭部にある4層の筋である。
1)僧帽筋と胸鎖乳突筋
2)頭板状筋と頸板状筋 ①頭板状筋のトリガーと放散痛 頭板状筋の関連痛は独特で、トリ ガーを生じると、頭頂周囲に痛み放散すことが知 られている。
②頸板状筋のトリガーと放散痛 頸板状筋は、C 3~ C4 頸椎棘突起の外方2寸ほどの部にト リガーを生じると、側顔面部とくに外眼角部に痛みが放散する ことが知られている。 3)頭半棘筋と頸半棘筋 頭板状筋と頸板状筋の深層には頭半棘筋と頸棘筋がある。 頸半棘筋は、後頸部において最も太い筋であり、本筋が緩むと頭の重量を支持できない (長椅子に寝たまま座っていられない)。 C1 ~ C5 棘突起外方、約1㎝の部にトリガーがある。本筋の放散痛は、後頸部と前頭部あ たりの放散痛をもたらす。 頭半棘筋と頸棘筋の筋腹は、基本的に椎体の幅より外側にはみ出さない。
後頭下筋
後頭下筋は、頭半棘筋の下層の、最深部にある筋で、大後頭直筋・小後頭直筋・上頭斜筋・ 下頭斜筋の4筋からなり、前方へ移動しようとする頭部を後ろに引いて支える役割がある。 天井にペンキを塗るなど上を見る姿勢や、体幹部が前傾姿勢である時に頭を引き起こす姿勢が 長時間続くと、本筋は過緊張を起こし、側頭部に放散痛を生じる。 大後頭直筋・上頭斜筋・下頭斜筋でつくる三角を、後頭下三角とよぶ。後頭下三角中央の間 隙の深部には、椎骨動脈や後頭下神経(C1 後枝の別称)がある。後頭下神経は、後頭下筋を 運動支配する。 ①頸椎全体のROM:前屈60 °後屈50 °回旋60 °(ハイとイイエは60 °と記憶する) ②後頭骨- C1 間ROM:前後屈のみで、前屈10 °後屈25 ° つまり後屈動作の半分は 後頭骨- C1 間の動きである。
③ C1 - C2 間のROM :回旋のみで、左右回旋45 ° すなわち左右回旋の大部分はC1C2 椎体間の動きである。