後頭前頭筋
後頭前頭筋とは、顔面神経支配の顔面症状筋の一つで、後頭筋と前頭筋の総称。中間に帽状 腱膜を挟んで一体として機能している。後頭筋は後頭部痛を引き起こし、前頭筋は眼や前額部 の痛みを引き起こす。
側頭筋
側頭筋は、咀嚼筋の一つで、三叉神経第 Ⅲ枝が支配する運動神経である。側頭筋の トリガー活性は、上歯痛、顎関節症などで 生ずる。局所治療として頭部周囲の緊張している筋緊 張を改善させることを目的とする。
総括
頸部・頭部の筋緊張は、頭痛や顔面痛を引き起こすことがあるが、筋ごとに一定の法則性が ある。
頸部や頭部の筋緊張は、頭痛だけでなく、頭顔面部を中心とする種々の関連症状をもたらす。 眼精疲労、顎関節症、頸肩コリ等は、緊張性頭痛と関連する症候群だともいえるので、筋の緊張を緩めることで症状が改善することが多い。
1)片頭痛の鍼灸治療
中枢部の三叉神経刺激 三叉神経は橋より出て三叉神経節を経由し、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ枝に分かれて顔面に分布し、その 知覚を支配する。橋から三叉神経節に至る間の経路は、感覚路と運動路に 分かれている。
a. 触覚を伝える神経は橋に存在する三叉神経主感 覚核へ入る。顔面の皮膚の触覚はこの神経が 伝達する。
b 痛覚や温度覚を伝える神経は脊髄を下行し三叉神 経脊髄路核に入る。これらの神経はシナプスを 介して反対側に入り上行し、視床に向かう。
c. 咀嚼運動による感覚神経は三叉神経中脳路核に 入る。
片頭痛に関係するのは、b の三叉神経脊髄路で、 脳硬膜部にある三叉神経末端線維からの興奮を受け取る。三叉神経脊髄路は、三叉神経節→上 位頸髄まで下降→視床→大脳皮質に至り、痛覚と温度覚を伝達することになる。 三叉神経は、橋だけでなく、延髄・脊髄にも核が ある。脳内に異常があると、三叉神経が顔面に分 布する第1枝、第2枝、第3枝が痛むようになる。 一方で上部頚椎が交通事故などで障害を受けた り、脊髄空洞症では、三叉神経脊髄路が刺激を受 け、唇からタマネギ状に顔面が痛むことがある。 むちうち症で首の他に、目の周りが痛むのはこ の理由によるとされる。
緊張筋に対する治療 片頭痛症状が生じているときは頸部や肩部、顔面部にある増幅筋、板状筋、咬筋や内側・ 外側翼突筋付近に押えると痛む圧痛、緊張がみられるので、これらの筋肉(とくに頸部筋) の圧痛や緊張を減少させることが、片頭痛の発作予防につながる。