4)代表疾患 ①シャイ・ドレージャー症候群 脳神経の変性により高度の起立性低血圧と徐脈を主とした自律神経症状を示す。 40~50代の男性に多発。起立時にも脈は増えない。予後不良、特定難病指定。 起立性低血圧を主病変とするとするものはシャイ・ドレージャー症候群のみ。 本疾患以外は重大な病因のもとに現れる一つの兆候(二次性低血圧) ②糖尿病、脳梗塞、脳腫瘍、脊髄空洞症 ③老人性起立性低血圧 高齢者では自律神経の感受性が低下するため、起立性低血圧が14%くらいの者 に認められる。糖尿病でも自律神経が障害されるので、本症が起こりやすい。 老人の疾病としては中枢性の平衡障害、多くの場合は椎骨脳底動脈不全を考える。 ④起立性自律神経失調症 若年者では、まず起立性自律神経失調症を考える。朝礼中ひっくりかえるなどの例があ る。末梢血管運動神経の失調(=交感神経失調)で起る。生命に別状なし。
本態性低血圧 通常みられる本態性低血圧は、血圧が低いこと以外に問題となる自覚症状がなく、生命の 予後は良好で、むしろ長寿の者が多い。一般に低血圧症の症状として、易疲労・めまい・立ちく らみ・動悸・睡眠障害などがあげられるが、そのほとんどが低血圧とは無関係であって、このよ うな不定愁訴を訴える患者の血圧が、たまたま低い場合があると考えるべきだとする見解がある。 低血圧の者は、朝の寝覚めが悪く、仕事に取りかかるまで長時間を要するようであるが、これ は寝ている時の副交感神経優位状態から、起床後の交感神経優位状態への切り替えがスムーズに いかないというのも自律神経失調症として考えられる。頭痛や立ちくらみは、自律神経失調に起 因した起立性低血圧なのかもしれない。使用中→薬剤性低血圧症 立ちくらみ、四肢の知覚麻痺、口渇→糖尿病性神経炎 立ちくらみ、老人→老人性起立性低血圧 立ちくらみ、動悸息切れ→貧血
自律神経失調症 低血圧冷え性肩こり動悸 朝起きれない、立ちくらみ(副交感神経緊張)
低血圧の鍼灸診療
鍼灸で適応なのは、本態性低血圧症と本態性起立性低血圧症であるから、症候性低血圧の除外 診断をきっちりと行う必要がある。本態性低血圧症と本態邸起立性低血圧症では、低血圧値を是 正させるのではなく、低血圧により生じた自律神経失調症症状、あるいは自律神経失調症により 生じた低血圧症状を改善する目的で行うので、事実上は、自律神経失調症状の治療を行うことに なる。 1)血圧値を上昇するための対症療法 普段からビニール袋を携帯し、症状出現時に吐いた息を再び吸い数回繰り返す。 つまりCO2を吸入することで血圧を高める
2)本態性起立性低血圧時の対症療法 弾性のあるストッキングやゲートルおよび腹巻をしめておくと、起立時のめまいを 軽くできる。推奨するのは床の中でタイツを穿いてから起き上がる方法。