鍼灸治療
捻挫の治療では、圧痛ある所に刺針し、必要に応じてテーピング固定を行う。
1度の捻挫では、この方法で症状は大幅に緩和されるが、数日間のテーピング固定は必要である。2度以上では、針灸はほとんど効果がないので安静+固定が必要になる。固定時期を失した捻挫は、慢性捻挫に移行しやすい。
足関節の慢性捻挫
足関節の外側にある前距腓靱帯や踵腓靱帯が切れ、足関節が不安定になった状態では、足を地面に着くときに内返し(足の裏が内側に向く)しやすくなり、そのまま体重をかけると、外側靱帯が再び断裂する。すなわち捻挫を繰り返しやすい。
「靱帯が伸びた」というが、靱帯はゴムのように伸びるわけではなく、切れた靱帯線維の間が瘢痕で埋まり弛む。一度、瘢痕組織で埋まってしまうと靱帯の緩みは治らない。
慢性捻挫であっても、針灸すると症状は大幅に改善するが、負荷により痛みは再燃しやすい。
足根洞炎:足の外果の斜め前下方で、距骨と踵骨のつくる骨溝があり、ここを足根洞とよぶ。経穴では丘墟に相当する。前距腓靱帯損傷の後遺症として、慢性足関節捻挫ではしばしば、この部の痛みを訴える。
アキレス腱炎
病態
アキレス腱は下腿三頭筋(腓腹筋・ヒラメ筋)と踵をつなぐ強靭な腱で、踵骨隆起に付着する。
つま先で地面を蹴るような動作やつま先立ちの姿勢で、下腿三頭筋が収縮するとアキレス腱は上に引っ張られ、踵が挙上する。
病態
急性型:ダッシュやジャンプ・着地などで、過度に足首の底屈や背屈が強制された場合。
慢性型:オーバーユースによる。アキレス腱の老化は思春期を過ぎた比較的早期に始まる。
症状
アキレス腱上に圧痛出現。初期では運動開始時に痛く、少し運動を継続して温まってくると痛みが軽くなる。軽い運動では痛まず、激しい運動で痛み出現する。慢性化すると腫脹が強くなり、アキレス腱部の圧痛、硬結、動作時の握雪音(腱と皮膚の間がギシギシ、キュッキュッと音をたてる)がする。
4)理学検査
壁に向かって立ち、体重をかけた状態で、膝伸展位で床から踵を浮かないようにして、膝を前に押し出すことにより、足関節を背屈させると、痛みの再現ができる。
(単に膝伸展位で足関節を背屈させるだけでは不十分)
5)針灸治療
初期には安静が必要。炎症が強い場合には、まずアイシングする(固定はしない)。熱感がなければ針灸治療と温熱療法を加える。