頻尿
1.頻尿の定義
排尿回数が多いこと(1日10回以上)を頻尿という。結果的に1回尿量は減少する。
正常排尿回数は1日4~9回程度。頻尿では、1時間半ごとにトイレに行く計算。
夜間尿の正常回数は、壮年前は0回、老人では1回。夜間2回以上が夜間頻尿。
・正常1日尿量は800~1500ml 排尿回数5~6回/日
・正常1回排尿量は200~300ml
多尿になる疾患
尿量増加し、結果として頻尿になる状態。昼夜とも多尿となるのは、糖尿病と利尿剤が代表。
尿崩症も多尿になるが、非常にまれな病気。
2.頻尿の原因
1)生理的頻尿と老化による頻尿
①精神的ストレス:「膀胱壁がどの程度伸張したら尿意をもよおすか」の閾値が下
がった状態。これを神経性頻尿(神経因性頻尿と区別せよ)とよぶ。
②バゾプレシン分泌減少:健常者では睡眠を妨げないために、夜間にはバゾプレシン
(抗利尿ホルモン。下垂体後葉から分泌)の分泌量が増し、尿生成が減少する。
老人(男女とも)ではこのホルモン分泌低下するので、夜に何度もトイレに行く。
③エストロゲン分泌低下:エストロゲンには蓄尿作用がある。更年期以降の女性では、
エストロゲン分泌低下するので、蓄尿機能が低下して頻尿になる。
3)その他の疾病としての頻尿
①炎症性疾患:膀胱炎・尿道炎、前立腺炎などでは、頻尿とともに排尿痛を訴える。
②神経因性膀胱:脳卒中や脊髄損傷に付随するのもで、鑑別自体は容易である。
③前立腺腫瘍:頻尿単独症状を訴える。最も多いのは前立腺肥大の第1期で、高齢男
性に多い。前立腺肥大の第1期では、とくに夜間頻尿を訴える。
④過活動膀胱:尿意切迫感を伴う頻尿
<炎症、頻尿の整理>
炎症3大症状:頻尿、排尿痛、膿尿。○○炎という病名になる。
膀胱炎→排尿終了時痛
尿道炎→排尿開始時痛(湯の中で排尿すると楽)
前立腺炎→会陰部広汎な鈍痛
頻尿3大疾患:炎症、前立腺腫瘍、神経因性膀胱
炎症→頻尿、排尿痛、膿尿という3大症状あり。とくに排尿痛の有無をチェック
前立腺腫瘍→前立腺肥大、前立腺癌。初期は頻尿単独症状。
神経因性膀胱→脳卒中、脊髄損傷など。小便を制御できない。基礎疾患に付随。
例)頻尿患者で、排尿痛(-)、膿尿(-)、中枢神経系の異常がなければ、
前立腫瘍を疑う。
尿失禁
1.尿失禁の分類
尿を蓄めている状態で、自分の意に反して尿を漏らすことを尿失禁とよぶ。高齢者の
1/3に尿失禁がある。腹圧性尿失禁(65%)、切迫性尿失禁(20%)、混合型(15%)。
いいえ:切迫性尿失禁
くしゃみ、咳、笑った時など
腹に力が入ると漏れるはい:トイレに間に合わず、いいえ:腹圧性尿失禁
下着を濡らしてしまう
はい:混合性尿失禁