関節水腫
①病理変化 加齢などによって関節表面の軟骨が摩耗し、軟骨表面の辷りが悪くなる →滑膜が炎症を起こし、基準量以上の関節液を分泌→関節液の吸収が追いつかず関節包に 関節液量が増加→関節水腫→水腫により関節包内圧増加→膝関節痛 関節液穿刺で水を抜くと、関節包内圧が減るので一時的に痛みは減るが、炎症が改善たわけでないので、 再び水腫となりやすい。 ②膝蓋跳動テスト(+) 膝関節が腫脹している原因には、水腫と関節包の肥厚がある。 本テストは関節液の貯留の有無をみる。膝上方にある腫脹を下方 に押し下げ、その状態で膝蓋骨をコツコツと指頭で叩く。この時、 水腫があれば膝蓋骨が大腿骨から浮き上がっているので、骨と骨 がぶつかる手応えを感じる。 ③鍼灸治療 軽度の関節水腫は針灸治療の対象となり、とくに水腫部を中心 に施灸することで次第に水は引いてくることが多い。しかしそれに は時間がかかるので、整形外科等で水を抜いてもらい、その後に灸 治療をおこなった方が痛み等の関節症状改善が早まる。再度水が溜 まることもなくなる。 3)関節包の肥厚 慢性反復性刺激から関節包を守るため、関節包が肥厚関節包は次第に肥厚してくる。この 結果、柔軟性に乏しくなり、ROM が制限される。膝蓋跳動テスト(-) 関節包の肥厚は、関節裂隙への刺針や筋腱付着部への刺針を行っていると、膝関節可動域が 増し、それとともに自然と関節の病的肥厚もとれてくる。
整形での治療
軽度~中等度の例に対しては保存療法。局所の循環改善を目標とし、温熱療法や低周波治療を 実施。さらに四頭筋力増大を目標に、大腿四頭筋強化訓練。歩行困難な例に対しては、外科手術 (高位骨切術や人工関節置換術)が行われる。高位骨切術とは大腿骨の一部をクサビ状に切るこ とでO脚を是正し、膝関節内側にかかる体重を減らす目的で行われる。
大腿四頭筋強化訓練法 椅座位にて:足がつかない程度の高い椅子やテーブルに座らせる。足関節を背屈し、膝 関節を10秒程度持続的に伸展させる。 仰臥位にて:膝伸展位で足を背屈し、下肢を45°程度、10秒間ほど挙上する。 これらは毎日朝夕2回、5分間程度(30回ずつ)、根気よく続けることが重要である。 大腿四頭筋強化運動の是非 整形では数十年前から大腿四頭筋強化運動が推奨されているが、努力しても膝痛は軽減せず、そのうち面 倒になり止めてしまう患者も多い。四頭筋強化運動でははく、膝痛の軽減→以前より膝の活動量を増やす →筋力強化という良い循環を図るという考え方がある。まず痛みを軽減させることの方が重要。
関節包内ヒアルロン酸注射 関節滑膜から分泌されるのが滑液で、関節滑液の成分はヒアルロン酸とタンパク質である。 ヒアルロン酸を関節包内に注射することは、滑液不足を補うという意味がある。 一般的には週1回で5回注射し、症状により2 週~ 44 週に1回注射し維持する。ヒアルロ ン酸の内服は、関節部にヒアルロン酸が到達しないので、効果がないとされている。
減量 肥満者のOAでは実行させたい。減量すれば、膝関節に加わる体重負荷も減少する