変形性股関節症
1)病態・原因:股関節の変形。大部分は先股脱や ペルテス病による二次性による。
2)症状・所見:股関節部痛、股関節の運動制限
3)理学テスト
①パトリックテスト方法:股関節を他動的に屈曲、外転、外旋させる。 大腿を屈し外果を反対側の伸展し脚の膝部分にの せ、膝部を床方向に押しつける。疼痛を訴えるも のが陽性。 意義:股関節障害、仙腸関節障害 パトリックテストを、ファーブル徴候ともよぶ。
②トーマス股屈曲テスト方法:仰臥位にさせ、次に健側の膝と股関節を十分に曲げ、膝部を胸壁に近づける時、患側 の股関節が自動的に屈曲位となり、膝関節が持ち上がるものを陽性とする。 意義:股関節の屈曲拘縮、腸腰筋拘縮
4)変形性股関節症の針灸治療 そもそも関節症では関節可動域は減少するが、関節そのものは痛まない。痛むとすれば関節 周囲筋によるものである。変形性股関節症患者は、大腿外側や鼡径部の鈍い痛みや、歩行時に 股関節のぎくしゃくした感じを訴える。本症の針灸治療は、周囲筋を緩め、放散痛をとる目的 で行うことになるので、すぐに治療効果は得られる。 跛行状態や杖歩行が必要なほどの変股症には治療効果が得られないことが多い。
鼡径部痛 鼡径部痛では、鼠径部ほぼ中央に圧痛があれば大腿内転筋群部の痛みであり、鼠径部外端 に圧痛があれば大腿直筋部の痛みと推定できる。 大腿中央付近の圧痛では、圧痛点はスカルパ三角のほぼ中央になる
鼠径部外端の圧痛、すなわち大腿直筋の起始部付近の痛みの 場合、歩行の際太ももを挙げる際に痛むと訴えることが多い。
ペルテス病 病態:成長期における大腿骨頭の阻血性壊死。壊死した骨や軟骨組織はいったん結合組織に置 換され、その後に修復される。阻血の原因は不明。予後良好。4~10才に好発(男>女)。 症状:随意性跛行ならびに股関節痛、股関節の内・外旋障害
大腿骨頭壊死 病態:股関節脱臼、骨折などが原因となり、大腿骨骨頭の栄養動脈の狭窄や閉塞により、無腐 敗性(無菌性)壊死が片側または両側性に起こる疾患。40 ~ 60 才の男性に多い。 症状:股関節の疼痛、圧痛、跛行、内転外転障害