6)装具:ナックルベンダー(MP関節屈曲補助)
小指球筋の機能
1.小指球筋
小指球筋は、すべて尺骨神経の運動支配なので、尺骨神経麻痺では小指球萎縮する。
2.短掌筋と長掌筋
短掌筋は小指球尺側縁の皮膚を緊張させる。本筋の親戚である長掌筋は手掌腱膜を緊張させる。
3.短小指屈筋:小指基節の屈曲作用。本筋の親戚である短母指屈筋は、母指基節の屈曲作用。
4.小指外転筋
小指の外転(環指から引き離す)。ジャンケンでパーを出す時、短母指外転筋・短小指外転筋、背側骨
間筋(第3指を中心にこれより第2・4・5指を遠ざける)が働く。
後谿(小)や養老(小)からの直刺は、小指外転筋→小指対立筋→短小指屈筋と刺針できる。
5.小指対立筋
母指対立筋と共同して、母指腹と小指腹をくっつける作用。少府(心)刺針で
小指球には、母指球にある母指内転筋がなく、小指内転は掌側骨間筋の働きによる。
中手筋の機能
1.中手筋の種類
掌側、背側骨間筋 虫様筋
2.中手筋の機能
①虫様筋
(橈側2筋→正中) 第2~第5指のPIPとDIPを伸展し、MPを屈曲させる
(尺側2筋→尺骨) トランプを扇形に広げ持つ指の形
浅指屈筋(正) → 第2~第5指のPIP屈曲
深指屈筋(橈側半分は正中、尺側半分は尺骨神経支配)→ 第2~第5指のDIP屈曲
②掌側骨間筋(尺):第3指を中心に、これに第2,3,5指を近づける(内転)
③背側骨間筋(尺):第3指を中心に、これに第2,3,5指を遠ざける(外転)
中渚(三)・液門(三)からの刺針は、背側骨間筋刺激になる
5.手根管症候群CTS
1)病態生理
手根管とは、手根骨と屈筋支帯の間隙をいう。ここを通る正中神経が圧迫刺激され、圧迫部
から末梢の正中神経麻痺が生じた状態が、手根管症候群である。
原因として、特発性、妊娠、骨折、腱鞘炎、RAなど。
手根管を通るもの 深指屈筋 長母指屈筋 正中神経 浅指屈筋
屈筋支帯:近位は豆状骨~舟状骨、遠位は有鉤骨~大菱形骨間を結ぶ。手根管が縦走する。
屈筋支帯中央部に横手根靱帯がある。正中神経圧迫の好発部位。
豆鉤靱帯:豆状骨~有鉤骨を結ぶ。ギヨン管が通る。尺骨神経圧迫の好発部位。
2)症状
小指以外の指端の痛みと異常知覚(ピリピリ、ジンジン)。進行すると母指球萎縮し、
ものをつまむ動作がしづらくなる。
3)理学テスト
①チネルサイン
圧迫されて痛んだ神経(ここでは手根管部)を軽く叩くと、指先に向かって放散痛が出現。
②ファーレンテスト: 手首を強く屈曲(掌屈)させる際の痛み。