主な腎疾患。
1.急性糸球体腎炎
1)原因・病態生理
扁桃炎等(A群β溶血性連鎖球菌の感染)→糸球体の抗原抗体反応(アレルギーⅢ型反応)
→炎症による糸球体濾過機能の低下
2)症状・所見:3大徴候は血尿、浮腫、高血圧。他に尿蛋白
語呂:死球(糸球体腎炎)で、血(高血圧、血尿)が出る。ネフローゼは「血」が出ない。
☆腎性高血圧の機序
糸球体毛細血管収縮→血圧低下を感知し、腎にあるレニン分泌↑ レニン自体に昇圧作用ない
↓
血圧↑ ←アンギオテンシンⅠ合成→アンギオテンシンⅡに変換(末梢血管収縮作用)
↓
さらに血圧↑ ←副腎皮質にあるアルドステロン分泌↑ (Naと水の再吸収↑作用)
<浮腫の鑑別>
浮腫下肢の浮腫、朝は浮腫なし→心不全、とくに右心不全
朝、まぶたの浮腫尿量↓、血圧↑→急性糸球体腎炎
浮腫顕著、尿の泡(蛋白尿)→ネフローゼ症候群
1)心臓性浮腫←静脈うっ滞による
右心不全では静脈の環流が悪くなるので、全身性の浮腫がおこる。とくに重力のかかる
部分に浮腫が出る(立位では下肢に、寝ている者は背部)。
浮腫は夕方~夜間にかけて増悪する。夜間は心臓に余裕が出て、腎動脈に回す血流が増
加するので、全身各組織に溜まった水を排泄し夜間尿量増大する。朝起床時には浮腫は目
立たなくなる。
2)腎臓性浮腫←尿量減少による
腎機能低下すれば、血中から余分な老廃物と水分を排泄する機能が低下するので、昼夜
とも多尿となることはない。とくに寝ている間は長時間同じ姿勢をとるので浮腫が強い。
この浮腫は、まぶたに目立つ(皮膚の弾力性が弱い部のため)。
3)検査:
①ASO(ASLO)↑
ASO(ASLO)抗ストレプトリジン-O値の上昇は、A群溶連菌の感染を意味する。
②血清クレアチニン↑、尿素窒素↑、クレアチニン・クリアランス↓
※クレアチニンは筋活動の老廃物、尿素窒素(BUN)は食物蛋白の窒素成分で、本来ならば両者とも
腎から排泄される。腎機能低下時には体内に溜まる。
4)予後:小児では6ヶ月以内でほとんど治癒する。成人でも70%は治癒、残りは慢性化。
2.慢性糸球体腎炎とは
急性糸球体腎炎の発病後1年以上にわたって異常尿所見または高血圧の持続、あるいは尿検査
で初めて発見されることが多い。症状は急性糸球体腎炎と同じ。進行すれば透析治療。
3.ネフローゼ症候群
1)病態:糸球体基底膜の変性にともなう蛋白透過性亢進。幼少~若年層に多い。
2)症状・所見
①高度蛋白尿(1日3.5g以上)、低蛋白血症、高度浮腫
②高コレステロール血症