2)直腸瘤
直腸の壁に何らかの問題がある場合、長期間強く息み続けると、直腸にたまった便の圧力でポケット(直腸瘤)ができる。直腸瘤は高齢者女性に特有のもので、出産や子宮摘出のために直腸壁が脆弱になって起きるケースもある。直腸瘤の治療には手術が必要となる。
4.常習性便秘
便秘は、急性と慢性に分けられ、さらに急性は一過性単純便秘と症候性便秘に、慢性は生活習慣に伴う常習性便秘と症候性便秘に分けられる。一般の便秘の多くは、この慢性の常習性便秘である。常習性便秘の原因は次の通り。
1)病態生理:排便ネットワークの破綻
①朝食抜き・間食→ 口-胃-結腸反射の消失
口に食べ物が入った瞬間から、反射的に胃は動き出し、胃が動き出すと、反射的に結腸の蠕動運動も活発化する。腸の蠕動運動は下行結腸に強く現れる。
この反射は、胃腸が空の時に、食物を口に入れることで強く出現するので、起床
して朝食を食べた後には最も強い結腸反射が起こる。
②便意の我慢→排便反射の消失
S状結腸内の糞便が直腸に移行し、糞便が直腸壁を伸展すると、その刺激が骨盤
神経の知覚線維を求心路として仙髄の中枢へ伝達され、さらに上位の中枢(延髄)へ刺激が到達して便意を意識する。
便意を感じても、習慣的に我慢して常時直腸に便が入っている状態では、直腸壁
の伸張刺激は失われ、便意を感じなくなり、排便反射が消失する。
痔による排便痛を避けるため、排便を我慢しているケースもある。
便秘が女性に多い理由
a.男性に比べて、女性は腹筋や横隔膜が弱いこと、解剖学的に腸が圧迫されやすいこと
b.プロゲステロン(黄体ホルモン)の影響
プロゲステロンは、排卵に備えて腸管内から水分を溜め込む作用があるため便を硬くしてしまい、また子宮などを緊張させ腸の働きも鈍くする。プロゲステロンは排卵後から月経前に最も多く分泌される。この時期に一致して体温上昇と水分貯留(浮腫)が起こる。これを月経前症候群とよぶ。
2)症状:腹痛(-)、便意(-)
5.肛門挙筋痛
立ち座りの時、尾骨~骨盤底に感じる強い痛み。肛門挙筋の過剰収縮、同筋の肥厚によるとされる。尾骨外縁に圧痛が出現。その圧痛点に2寸#4程度の針で深刺すると良好。
注意すべき便秘
R/O 直腸癌・大腸癌
直腸癌では早いうちに腸が便摩擦され 大腸癌疑診項目
て出血し、また通過障害による腸閉塞も・比較的最近に始まり、次第に増悪する便秘
起きやすい。また便が細くなり、鉛筆状・血便を伴う便秘、軟便の便秘で比較的細い便
になる。腹痛は便が詰まって腹腔内圧が・貧血・体重減少を伴う便秘亢まるので、排便前に痛む。・腹部に異常な腫瘤を触れる便秘大腸・直腸ポリープも同じ。
2.癒着による腸狭窄手術痕から推測する。