3.巨大結腸症
先天的なアウエルバッハ神経叢欠落のため腸の運動が起こらない。アウエルバッハ
神経叢(腸の蠕動制御)とマイスネル神経叢(腸の分泌制御)は、上腸間膜動脈神経
叢から起こる。
4.鬱病
鬱病は、欝状態のほかに、不眠・便秘がよく併発する。治療は抗うつ剤に加え、睡眠剤と緩下剤を投与することが多い。
宿便:腸の壁に長期間こびりついている古い便という認識。腸壁からは常に粘膜が分泌され、またとくに小腸では1日で細胞が入れ替わっているので、宿便ということはあり得ない。しかし便秘になると肌が荒れる傾向になるのは事実である。それは小腸の絨毛細胞から取り込まれた物ではなく、腸の細胞の間が開いて取り込まれた物質が身体に悪影響を及ぼしたと考えられている。
下痢・便秘の鍼灸治療
排便のしくみ
直腸内圧亢進(糞便)→骨盤神経(副交感) 直腸内に糞便があるという情報
↓ を排便中枢へ伝達
排便中枢(腰・仙髄) →大脳へ(便意)
↓
骨盤神経(副交感)、下腹神経(交感)、陰部神経(体性)
↓
内外肛門括約筋弛緩→排便
直腸内に糞便が貯まれば便意が生じ、自律神経とくに骨盤神経(副交感)の作用により排便運動を起こす。ただし排便我慢は、意志により陰部神経興奮させることで外肛門括約筋の強度収縮が可能となる。したがって排便障害の鍼灸治療は骨盤神経刺激が主体となる。
下痢の鍼灸対症療法
1.下腹痛・下痢・便秘の相互関連と鍼灸対症治療の考え方
1)障害部位
①小腸:寝冷えなどで生ずる下痢・腹痛。腸内温度低下で小腸の吸収力低下。
臍の塩灸、臍を中心とした箱灸、温罨法を実施。
臍部は皮下脂肪がなく、腹膜につながっているので、この部の温熱刺激は、低
下した腸の核心温を上昇させるのに効果的である。
②下行結腸~S状結腸:左上前腸骨内縁から左鼡径部の領域。おもに弛緩性便秘に対して使用。腸壁を直接刺激する(内臓刺)。
③直腸:直腸の炎症では裏急後重が生ずる(しぶり腹)。常習性便秘の障害部位でもある。伏臥位にて会陽(尾骨端の外方5分)から深刺。直腸への内臓刺になる。陰部神経枝である下直腸神経刺激・会陰神経も刺激する。
裏急後重:排便するとチビッチビッと粘血便が出て、すっきりせずにまたすぐトイレに行きたくなる。しまいにはトイレに張りついてしまう状態になる。直腸の粘膜炎症のために常に粘膜が刺激されて便意がある。赤痢の代表的特徴。常見では細菌性食中毒。
④脳(ストレス):過敏性腸症候群で問題となる。ストレスに伴う交感神経緊張→バランスをとるために副交感神経緊張して蠕動運動亢進。したがってストレス改善するのが目的で、リラクセーション目的の鍼灸治療を行う。