1)A型肝炎(潜伏期は2~4週)
経口感染(口→肝臓→胆汁→糞便→口)。急性肝炎として発症する。2~3ヶ月後
に自然治癒する。衛生設備の乏しい場所(発展途上国など)で集団発生する。
2)B型肝炎(潜伏期は4~24週)
①水平感染(成人になっての感染)
かつての主要感染原因は、輸血や医療用の針、鍼灸の鍼だった(現在では対策がとられている)。現在では体液(セックスなど)が原因となる。急性肝炎として発症するが、そのほとんどは2~3ヶ月後に自然治癒する。ごくまれに一度に激しい免疫反応を呈した場合、急性肝炎→劇症肝炎に進展し、死亡することもある。
②垂直感染(新生児・乳児の感染)
かつては母子感染(分娩時に、B型肝炎の母親の産道を通る時、血液に触れる)が、問題だった(現在では対策がとられている)。幼少時は、免疫システムが未発達なので、B型肝
炎ウィルスに感染しても免疫反応が起こらず、そのまま無症候性キャリアー(キャリアー:保菌者=HBs抗原陽性)となる。そのまま無症候性キャリアーとして一生を終える者が7割。
3割は思春期に急性肝炎として発病。そのうち7割が慢性肝炎に移行する。慢性肝炎状態のまま寛解と再燃を繰り返し、その20%は肝硬変・肝癌に移行する。C型肝炎に比べ、肝硬変や肝癌になる比率は少ないが、若いうちに肝硬変(45才頃)・肝癌(50才頃)になる。
要するに、B型肝炎は、臨床的治癒する者(大部分)と肝硬変から肝癌で死亡する者(少数)の2つの流れがあるといえる。
インターフェロンや抗ウィルス剤を使って、ウィルスの増殖を抑えることは可能だが、
ウィルスの排除はできない。予防には、ワクチン接種(HBs抗原)がある。ワクチンを注すると体内にHBs抗体がつくられる。
3)C型肝炎(潜伏期は2~24週)
かつての主要感染原因は、輸血や医療用の針だった。感染力は弱いので唾液や精液等、体液からは感染しない。
急性肝炎として発症し、3割は自然治癒する。残りの7割が慢性肝炎となる。いったん慢性肝炎となると、長期的には肝硬変・肝癌という一本道をたどる。
わが国の肝癌の8割はC型肝炎による。予防ワクチンはないが、インターフェロン治療により治癒する例も多い。
A型は2~4週B型は4~24週C型は2~24週。
・インターフェロン
免疫系や炎症の調節などに作用して効果を発揮する薬剤。インターフェロン治療は、ウイルス性肝炎を根治できる治療法である。遺伝子のタイプにもよるが、B型肝炎では約3割、C型肝炎では約5~9割の者が治療効果を期待できる。ただし強い副作用(発熱や頭痛、筋肉痛、脱毛、めまい、不眠など)を伴うことが多い