4.鼻アレルギー(旧称:アレルギー性鼻炎)
1)原因
外からのいろいろな刺激に対する鼻粘膜のアレルギーⅠ型反応」
すなわちアレルゲンがIgEと結合してマスト細胞からヒスタミン等の刺激物質が放出されて症状出現する。
本来なら、鼻粘膜に付着したアレルゲンは、洗い流され外に出るはずだが、感冒症状や排気ガス等で鼻粘膜に障害があると、アレルギー反応を呈してしまう。
通年性鼻アレルギーのアレルゲン:ハウスダスト、ダニ、真菌類
季節性鼻アレルギーのアレルゲン:花粉(2月~4月上旬→スギ~4月下旬→ヒノキ)
2)症状
①反復性くしゃみ、②、多量の水様性鼻汁、③鼻閉(発作時)
ヒスタミンの作用
分泌腺に作用:分泌過多(鼻腺分泌は副交感神経優位支配)
神経に作用:かゆみ、くしゃみ(鼻粘膜に分布する三叉神経刺激による)
②鼻アレルギー者の1/3に、副鼻腔炎が合併
③鼻茸:副鼻腔炎に合併。副鼻腔炎で膿が流出する時、副鼻腔出口の粘膜も押し出されて寒天様になり浮腫を生ずる。これが繰り返され、粘膜の一部が浮腫→腫瘤になる。鼻閉が生ずる。手術で摘出するのは容易だが、再発しやすい。
3)治療
①薬物療法:鼻水とくしゃみには、第二世代の抗ヒスタミン薬(即効性。眠気や口の渇きなどの副作用があまりない)メキタン、アレジオンなどを内服。鼻閉には、抗ロイコトリエン薬(対抗アレルギー剤に分類。効果出現まで1~2週間要する)オノンなどを内服させる。
②鼻腔内レーザー照射
下鼻甲介にレーザー照射10分間を行い、下鼻甲介の表面を焼灼し瘢痕化するという鼻粘膜局所の対症療法。肥厚性鼻炎と鼻アレルギーに適応がある。ほぼ1回の照射で治療終了となる。治療効果は3ヶ月~2年間続く。鼻粘膜全体を焼くわけではないので、治療効果不足の者も出てくる。治療に痛みを伴うことも問題。
③舌下減感作療法
花粉症の原因物質(スギ花粉の抗原希釈液を含ませたパン片)を経口で毎日投与することからスタートし、徐々に濃度を増やして服用間隔は延ばしていく。これを2年間行うと7割の者に症状改善がみられたというが、保険適用にならず、半年間の費用で15万円以上必要。今のところスギ花粉症しか適応がない。以前からの減感作療法は、多い時は週2~3回、計100回以上もアレルゲンの注射を打つための通院が必要だった。
鼻閉・鼻汁の診断手順
鼻汁・鼻閉
血性鼻汁・進行性:癌(医療受診)
粘性鼻汁水様性鼻汁、くしゃみ→ 鼻アレルギー
↓
頻回の膿性鼻汁、鼻周囲鈍重、鼻茸→なし:慢性鼻炎
↓あり