婦人科疾患の鍼灸治療
1.婦人科内臓の内臓体壁
婦人科内臓交感神経骨盤神経
卵巣・卵管・子宮・膣上部±)T h10~L4(前後) +
膣下部 会陰も同じ-)L2~L4 +
2.卵巣・卵管・子宮・膣上部の反応と治療点
骨盤臓器は、副交感神経優位である。
交感神経は、婦人科内臓を弱く支配するが、膣下部は交感神経は支配しない。
1)副交感神経反応
骨盤神経(S2~S4)支配で、S3に相当する中髎を治療点として用いる。
2)交感神経反応と脊髄神経反応
婦人科臓器はTh10~L4と交感神経支配が非常に広範囲であるが、その体壁反応は弱いので鍼灸臨床上重視しなくてよい。しかし月経痛などでの強い痛みは、交感神経線維の興奮が非常に大きくなるので同一脊髄分節から出る体性神経も興奮するが、L2~S2間は交感神経反応を脊髄神経に伝達する交通枝が欠如しているので脊髄神経反応は伝達されず、Th10~L1デルマトームに体性神経反応(筋のコリ痛み、皮膚過敏)が出現する。これが亢じれば自発痛(関連痛)を生じる。
小腹急結:婦人科の瘀血証(血行鬱滞)を伺わせる重要な腹証で、左下腹部を指頭で軽く迅速に
擦過した際にみる擦過痛をいう。T h11脊髄神経前枝皮枝の過敏反応と考えられる。
①Th10~L1脊髄神経後枝支配
後枝内側枝が表層に出る→脾兪~三焦兪後枝外側枝が表層に出る→京門、外志室
②Th10~L1脊髄神経前枝支配
前枝の前皮枝が表層に出る→天枢~横骨付近
なおL1脊髄神経に強い入力が加われば、腰神経叢(L1~L3)全体が刺激され、
腸骨下腹神経、腸骨鼡径神経、陰部大腿神経などの走行上の筋痛や皮膚過敏を引き起こす。
卵巣・卵管・子宮・膣上部反応の基本治療点
前枝殆どの婦人臓器後枝
Th10~L1 Th10~L1
(天枢~横骨あたり) 内側枝→(脾兪~三焦兪)
外側枝→(京門、外志室)
副交感神経系(S3)(中髎)
3.膣下部の反応と治療点
1)交感神経反応と脊髄神経反応:ほとんど出現しない。
2)副交感神経反応:骨盤神経(S2~S4)支配で、S3に相当する中髎が代表。
3)陰部神経反応
体性神経としてS2~S4から出る陰部神経は、知覚線維は外陰部・陰核・膣下部
に分布し、これらの部の知覚と運動をつかさどっている。
治療点は仙骨部では陰部神経刺針点が、下腹部では中極・大赫が代表。
膣下部反応の基本治療点
陰部神経(中髎、陰部神経刺針、中極)
膣下部
骨盤神経(S3)(中髎)