月経異常
月経異常の訴えは、月経自体の異常と月経随伴症状に分けることができる。針灸に来院するのは月経随伴症状が多い。月経自体の異常で針灸を訪問することは多くはないが、不妊症等で来院する者の愁訴として聴取されることがある。
1.月経の正常値
①初潮:平均初潮年令は、12.2歳(小学5年)
早発月経:9歳(小3)未満で初潮
遅発月経:16歳(高1)以降に初潮
②月経周期:26~38日間までが正常範囲。28日~30日が最も多い。
頻発月経→月経周期が25日以内
稀発月経→月経周期が38日以上で3ヶ月以内
語呂:月収(月経周期)は産婆の(38日以上)の都合(25日以下)
③月経持続日数:3~5日間が最も多い。8日以上の持続は病的。
④月経量:50~250åで平均100å
2.月経自体の異常の種類と原因
症状定義原因
原発性無月経18歳以上になっても大部分は先天性異常。
続発性無月経前回の月経から8週間中枢性)間脳-下垂体機能の障害による
以上、月経がない場合例:ストレス、神経性食思不振症、
高プロラクチン血症、下垂体腫瘍
末梢性)卵巣機能の低下による
例:卵巣腫瘍、性腺形成不全
頻発過多月経頻発+過長+月経量過多月経随伴症状を伴うことが多い。
大部分は子宮筋腫
稀発過少月経稀発+過短+月経量過少自覚的な苦痛はあまり感じない
卵巣機能の異常が多い。
開業針灸でも、上表により大雑把な病態区分ができる。基本的に次のことがいえる。
①卵巣は卵胞を産生する部なので、卵巣機能障害では月経をマイナス方向に誘導。
②子宮は月経血を生ずる部であり、機能障害時には月経をプラス方向に誘導。
③頻発過多月経と月経痛は重複しやすい。この場合、子宮筋腫・子宮癌や子宮内膜症
を疑う。
月経周期異常視床下部の障害
続発性無月経精神性、高プロラクチン血症
稀発性過少月経卵巣の問題
頻発性過多月経
月経痛子宮の問題(子宮筋腫、子宮癌、子宮内膜症など)
3.不正性器出血
定義:月経と無関係に起こる性器からの出血
疾患:子宮出血が大部分。機能性出血が多いが、子宮癌の重大症状であり、婦人科診察
必要である。
4.帯下(こしけ)
定義:腟、子宮からの分泌物(血液は含めない)。正常でも膣の自浄作用のため、
無色透明~半透明の少量の帯下はある。
疾患:異常帯下の9割は膣性(トリコモナス膣炎、カンジダ腟炎など)
血性帯下では、子宮癌を疑う
①トリコモナス膣炎
帯下の病気の王様。膣トリコモナス原虫が繁殖。黄色、悪臭あり。外陰部が湿って不快。掻痒あり。
②カンジダ膣炎
外陰膣真菌症。2番目に多い。帯下量、色、臭いは普通。外陰部のかゆみが激烈。