肩関節運動の主動作筋 停止神経上腕骨への作用 三角筋三角筋粗面腋窩神経前部→屈曲、中部→外転、後部→伸展 棘上筋肩甲上外転、外旋 神経 棘下筋大結節外旋 小円筋腋窩神経外旋 大円筋小結節稜肩甲下内旋 神経 肩甲下筋小結節内旋
肩関節ROM 屈曲(前方挙上)180°、伸展(後方挙上)60° 外転(側方挙上)180°、内転0° 内旋80°、外旋60°
水平屈曲135°、水平伸展30
2)診断(肩腱板炎単独の場合) 痛みによる肩関節の自動運動制限。他動運動は正常 大結節圧痛(+)、有痛孤(+)、ダウバーンサイン(+) ①有痛孤 肩関節を自動外転すると、外転60 ~ 120 °の範囲で疼痛 強く、さらに外転すると痛み消失する。また最大外転位から 次第に上肢を降下させると、同じ角度で再び痛みが起こる現 象。肩腱板とくに棘上筋の力学的ストレスを診ている。 ②ダウバーンサイン 上肢を下垂した肢位で、大結節の圧痛を認めるが、 肩関節を外転位にすると、大結節が肩甲棘の下に隠れ るので圧痛が消失する現象。大結節の圧痛であること を確認するテスト。
インピンジメント症候群
1)概念 インピンジメントとは「衝突」のことで、 長期間、上腕外転時に肩峰下滑液包や腱板が烏口肩峰 アーチに圧迫される状態をいう。肩腱板の機能障害で、 投球動作(=野球肩)など、腕を横に大きく振り上げる 際に痛みを生ずる。 インピンジメントという言葉は未消化の状態で、わが国に普及してしまった。肩峰下滑液包炎や肩腱板炎として整理されてきた病像を、別の観点から整理したものといえる。 2)症状:外転60 ~ 120 度での肩関節運動時痛(肩腱板炎と同じ) 3)理学テスト ①ペインフルアーク陽性 ②インピンジメント徴候 肩甲骨を押さえながら、もう片方の手で軽度に内旋し た上肢を他動的に前方挙上すると痛みが誘発する現象。 4)治療:急性期はRICE処置、慢性期はリハ訓練で経過 良好。ステロイドの肩峰下滑液包への注入。 ときに肩峰前下面の切除手術。
肩腱板断裂
1)病態 肩腱板の断裂で、棘上筋腱が大結節に付着する付近に好発する。外傷性と非外傷性(=老化 現象)がある。肩腱板の完全断裂であれば上肢の挙上困難となるが、不完全断裂や微小断裂の 場合には腱板炎と区別がつきにくい。 2)診断 肩の打撲や強打の既往あり。腱板炎よりも罹患年齢が高い。 完全断裂など断裂の程度が強い場合には、腕落下テストが陽性になる。 ①腕落下テスト 肩関節を十分外転するよう指示し、それから患者に上肢をゆっくりと降下するよう指示す る。もし腱板(とくに棘上筋腱)が断裂していれば、腕は90 °外転位から落下し、滑らか にゆっくりと腕を降下することはできない。90 °外転位に保持できたとしても、検者が上 肢を軽く叩くと、上肢は落下してしまう。