脊椎圧迫骨折
1)病態・症状 大部分は骨粗鬆症が基盤にあり、転倒やくしゃみなどをきっかけとして椎体が圧迫骨折した もの。受傷と同時に骨折部を中心とした激痛が生じ、座位ときには臥位変換も困難になる。 胸椎腰椎のX線撮影すれば圧迫骨折を確認できる。圧迫骨折は、通常安定骨折であり、脊 髄症状を伴わない。老人や閉経後の婦人に多い。下部胸椎と上部腰椎に好発する
2)所見 圧迫骨折部棘突起の圧痛や叩打痛(+)ときに発赤、熱感あり。 損傷部に相当する椎体の棘突起は突出する
3)鑑別 脊椎圧迫骨折の原因の大部分は、骨粗鬆症であるが、カリエス(骨の結核)や癌の骨転移 のこともある。←X線で鑑別
骨粗鬆症
1)概念:骨強度が低下している状態。「骨強度」は骨密度(骨の量的強度)と骨質(骨の質的 強度)の二つの要因からなり、骨強度=骨密度×骨質で表される。骨組成自体は正常。 従来から骨粗鬆症の治療には、骨の中にカルシウムがどれだけ詰まっているかを示す「骨密度」を高めるこ とが重要視されてきた。しかし現実には骨密度が高くても骨折を繰り返す高齢者は多かった。 そこで骨の成分の50%を占めるコラーゲンが注目された。コラーゲンは骨の中に「網目状」に張りめぐ らされていて、そこにカルシウムが結合して骨が形成されている。建物で言えば、コラーゲンが鉄筋、カル シウムがセメントにあたる。カルシウムが十分でも、コラーゲンがしっかりと張りめぐらされていないと、 骨は強くならない
2)症状・所見 易骨折(脊椎圧迫骨折、大腿骨頸部骨折、 橈骨下端骨折が多い)、 魚椎変形(椎体が凹レンズ様になる変形)
3)分類 ①低回転性骨粗鬆症(原発性骨粗鬆症):骨吸収・骨形成ともに減少しつつ骨量減少。老年性 ・閉経後骨粗鬆症 ②高回転性骨粗鬆症(続発性骨粗鬆症):骨吸収・骨形成ともに増加しつつ骨量減少。 甲状腺機能亢進症など
4)診断 骨密度:骨密度1.0g/㎝3以下が異常。50才以上の女性25%、60才以上の女性50%が骨粗鬆症。 骨量:骨代謝マーカー(骨吸収マーカー→破骨細胞が古い骨を吸収する度合いを調べる。 骨形成マーカー→骨芽細胞が骨形成する度合いを調べる)
変形性脊椎症
1)病態 椎間板の退行変性により、椎間腔の狭小、椎体縁の 骨棘形成などの骨変化をきたす病態。40歳以上の年齢 層に多い。老人になれば変形性脊椎症と骨粗鬆症は、程 度の差こそあれ、脊椎の変形は誰でも存在する
2)症状 腰痛(とくに起床時痛、動作開始時痛)、老人性円背 下肢に行く神経を絞扼した場合には下肢痛や下肢のしびれ出現する