動悸
心疾患による動悸時には不整脈が出現する。問診により次のことが理解できるが、どのタイ プの不整脈でも、危険なものから当面放置してよいものまである。この見極めには専門医の診 察を必要とする。 軽い労作時にも出現:心臓の器質的疾患(心臓弁膜症、心筋障害、冠状動脈疾患) 心負荷とは無関係:刺激伝導系異常ドッキンと1回→期外収縮(最も多い不整脈) ドキッドキッと連続→発作性頻拍 不規則な脈拍→心房粗動、心房細動
息切れ
息切れでは、まず呼吸器疾患を考慮する。その代表はCOPDすなわち慢性閉塞性呼吸器疾 患であり、気管支喘息、肺気腫、慢性気管支炎の3者がこれに該当する。 なおこの3疾患以外の呼吸器疾患は、そのほとんどが慢性拘束性呼吸器疾患に分別される
心不全
心臓のポンプ機能が低下し、体の需要に応じた血液を十分に循環させられなくなった状態を 心不全とよぶ。左心室の機能低下にある場合を左心不全、右心室の機能低下にある場合を右心 不全と呼ぶ。 左心不全では、左心の拍出力が弱い ため、血液が肺に貯留して肺鬱血症状 を呈する。肺の鬱血では、無理して血 流を通すため、右心に負荷がかかり、 右心症状を呈する。右心不全で、右心 室の拍出力が弱いため、体循環鬱血症 状を呈する。 すなわち、それぞれ前方負荷として の症状を呈する
①左心不全 左心不全が進行すると、大動脈に拍出できない血液が左心に溜まり、前方負荷の結果とし て肺うっ血症状を呈する。 左心不全の徴候:チェインストークス呼吸(睡眠時)、肺鬱血、心臓喘息
a)チェイン・ストークス呼吸 ごく小さな呼吸から次第に深さや速さが増して無呼吸となることを繰り返す呼吸の パターン。うっ血性心不全患者や、脳血管障害の患者でよく認められる。慢性心不全の 患者では、覚醒時でも炭酸ガス分圧に対する脳の感受性が高く、過換気の状態になって いる。ところが睡眠中は、この感受性が少し回復するために、睡眠中は二酸化炭素を溜 めないと(無呼吸になる)、呼吸が開始されない。
b)心臓喘息 重篤な左心不全により咳、痰、喘鳴を伴う呼吸困難発作が起こり、あたかも気管支喘 息の発作のような喘鳴を伴う状態を心臓喘息とよぶ。すなわち左心不全による夜間呼吸 困難発作のこと。気管支喘息との鑑別が重要である
②右心不全 右心不全では、右心室に環流できない血液が体循環に溜まり、前方負荷の結果として 体循環鬱血症状(全身浮腫、外頸動脈怒張)を呈する。 右心不全の徴候:全身浮腫、肺性心、COPD ※COPDを、一昔前は、COLDとも称した