2)口腔癌
口内炎から癌に進行するわけではないが、癌の初期状態に、口内炎によく似ている白板症
はくばんしよう
とや紅板症といった病変がある。
こうばんしよう
白板症:口腔粘膜が厚くなり、白く見える病変です。6~10%が癌に進行する
紅板症:口の中の粘膜が薄くなり、赤く見える病変。50%が癌に進行する
5.口内炎の現代医学治療
傷や潰瘍で細菌が繁殖→白血球など免疫細胞が戦いを始める→この戦いで組織が破壊されることが炎症、すなわち痛みとなる。すなわち、口内細菌の繁殖を抑えることが根本的な治療になり、その他の治療は、対症療法にすぎず、したがって再発予防には役立たない
①うがい
殺菌成分入りのうがい薬(イソジンなど)や洗口液を使ったうがいが効果的である。
20秒間のうがいを3回すれば、口内細菌量が1/10になる。
②ステロイド系の塗り薬
免疫を抑制し、痛みを和らげる働き→原因をなくすのではなく、症状を緩和させる作用
病院で処方される口内炎の塗り薬の大半がこのタイプ。代表藥はケナログ。口内炎により、痛くて食事ができない場合、とりあえず痛みを抑える意義がある
③ その他の殺菌・消炎成分入りの塗り薬
大半が市販薬がこのタイプ。塗った場所だけの局所的な殺菌効果である
④外科的治療
かつては口内炎部を硝酸銀で灼焼する方法が用いられたが、最近ではレーザー照射がこれに代わった(自費治療)。粘膜を灼焼して痂皮をつくり、外部からの刺激を遮断することで鎮痛を図る目的。口内炎部を、すべて痂皮で覆えば鎮痛できる
口内炎の飲み薬は、大半がビタミンB2を中心としたビタミン製剤。ただしビタミンB2不足が原因で口内炎になっている者は、1~2割程度で、それ以外の者には無意味である
6.口内炎の鍼灸治療
舌や頬粘膜、口腔底の痛みは、舌粘膜知覚刺激の結果であり、これは舌神経(三叉神経第Ⅲ
枝の分枝。舌前2/3の粘膜の感覚支配)により中枢に伝達される。他に舌には鼓索神経(顔面神経の枝。舌前2/3の味覚支配。顎下神経節への副交感神経線維)が入る
針灸治療は、項筋緊張緩和→C1~C3神経の鎮静→三叉神経第Ⅲ枝の鎮静→口内炎の鎮痛、という治癒機転を考える。局所治療としては、レーザー治療と同じ考えから、線香の火を瞬間的に直接局所につける方法が行われていた。ほかに交感神経興奮させる目的で、座位での大椎や治喘からの強刺激も考えられる。
東洋医学では胃熱の場合と、風邪などの感染症による口腔咽頭部の熱による場合があると解釈する。また舌痛では心熱に関係あるとしている