口内炎
1.口内炎の分類と主症状
口内炎とは、口腔内にできた炎症の総称で、部位別では、舌炎・口角炎・歯肉炎に分類する。性状別では、カタル性・アフタ性(=びらん性)・潰瘍性・壊疽性などに分類する。主症状は、丘疹・潰瘍・疼痛・灼熱感
2.代表的な口内炎
①アフタ性口内炎:最も多い口内炎。口腔粘膜に生じる直径数ミリの浅い小潰瘍
(びらん)。しばしば白苔を有し、周囲に赤暈をもつ。食に際して痛む。
1 0日ほどで自然治癒するが、再発を繰り返しやすい
②口角炎:口唇や口角部に亀裂が生じ、びらんや潰瘍ができる。俗に「カラスの灸」ともよぶ
ビタミンB2不足、カンジダ(カビ)などが原因。
3.口内炎の原因
1)創傷性
口腔の傷+唾液量減少→ 細菌を洗い流せず、口内細菌増加→炎症→(潰瘍)口内炎
↑
ストレス・新陳代謝減少→口腔粘膜の新陳代謝低下→口内炎
口腔の傷とは、歯ブラシで傷つけたり、歯で粘膜を噛んだり、魚の骨などが刺さる、などの原因による。口内炎患者の口腔内では、常在菌が繁殖して炎症を起こし、口内炎になる
ただし多くの場合は、唾液によって細菌が洗い流され、口内炎になる前に傷が治癒する。要するに、唾液分泌が減少して口腔内乾燥すると口内炎になりやすい。
口の粘膜は絶えず新陳代謝で再生してるが、疲労やストレス時ではで新陳代謝が低下し、口内粘膜の代謝も減少し、悪化するとアフタができる
口腔内乾燥の原因の一つに、声の出し過ぎや女性ホルモン不足がある
更年期にみる口内炎を、とくに「更年期口内炎」とよぶ
2)ビタミンB群不足
内科医では、まずビタミン不足を考え、ビタミン剤(チョコラBBなど)を投与
口内細菌を殺す目的でトローチを投与。
ビタミンB2不足→口角炎、ビタミンB6不足→舌炎、口内炎。
腸内細菌は、ビタミンB1、B2、B6、B12を合成する。抗生物質の長期服用や下痢では、腸内細菌を失うことになる
3)免疫力低下:睡眠不足、過労など。ほかに抗生剤、ステロイドの長期服用による。
4.重篤疾患との鑑別
1)ベーチェット病
口内炎で重要なことは、単独で捉えてよいのか、それとも全身性疾患の部分症状なのかという点である。全身性疾患の代表に更年期障害とベーチェット病がある
ベーチェットでは直径1㎝ほどの巨大なアフタ性口内炎が初発する。
ベーチェット病:皮膚粘膜眼症候群。青年男子に多い。診断が難しい病気の一つ。
①再発する口内アフタ、②ブドウ膜炎、③外陰部潰瘍が3大症状。他に全身性の慢性炎症を生ずる。原因不明だが遺伝的要素がある。これまで後天的失明の半分は、ベーチェット病によるとされていたが、現在では失明に至る例は少ない