3)帯状疱疹後神経痛の疼痛機序
帯状疱疹の急性期の痛みは知覚神経の破壊と炎症に由来するが、両者とも低酸素状態をもた
らし、悪循環を形成する。また神経破壊は太い神経線維がより強く破壊されるが、神経再生は
細い線維から優位に起こるので、知覚神経組成比率に異常が起こる。
急性期の痛みはウィルスによる神経系に対する直接侵襲と、それに伴う炎症反応に起因する
が、これらは交感神経の過緊張による影響も大きい。
4)現代医学的治療
抗ウィルス剤+交感神経節ブロック
抗ウイルス剤:本剤でウィルスの増殖を抑制できる。しかし皮膚症状の治癒は促進できるが、帯状疱疹後神経
痛への移行には変化をもたらさない。抗ウイルス剤では交感神経の緊張を抑制できず、除痛効果もない。
星状神経節ブロック:交感神経過緊張のために生じている血管痙攣を解除し、血流が改善され、神経破壊を
抑止するとともに修復を促す。乏血による疼痛は消失し、局所の浮腫は消退する。連日行うのがよい。
現在開発、使用されている抗ウイルス薬は、インターフェロン(C型肝炎)、抗ヘルペス剤、対抗インフル
エンザ剤などに限られている
5)鍼灸治療
帯状疱疹になって1ヵ月以内に治療を開始したものは良好であり、1年以上経過し
たものは治療効果が悪い。帯状疱疹後神経痛への移行を予防するのが重要(移行しな
い場合には自然治癒する)。予防には局所+星状神経節ブロックが有効だが、帯状疱
疹神経痛となって1ヵ月以上を経たものについては期待薄である。要するに、神経ブロ
ック治療でプラトーに達した後にも針灸は適応がある、とはいえ器質的な神経痛であ
るため、一般に難治である。
①初期:小水疱が狭い範囲に出現している程度であれば、罹患部を囲むように横刺と
デルマトーム内狭脊刺針で良好。早期に痂皮化に移行させるのが目的。
②移行後:上記と同様だがパルス治療を併用した方が効果ある。パルス治療後一両日
は鎮痛作用が得られる。しかし再び元の痛みに戻りやすいので、難治例では小型
の家庭用プレート低周波治療器を買わせ、1日3~5回、1回15分程度実施さ
せる。要するに、間隔をあけずに低周波通電を行うのがコツである。
中国では疼痛部から好んで刺絡する。現代医学的治療に加えて針灸治療を行な
うことが効果を増大させるという報告が多数ある。
動悸・息切れ
1.動悸・息切れを生ずる疾患
常見進行すると心・呼吸器疾患以外
動悸心疾患左心不全に貧血、甲状腺機能亢進症、心因性
息切れ呼吸器疾患右心不全に貧血