3)鍼灸の場で利用できる治療
①アシュネル眼球圧迫試験、ツェルマックヘーリング頚動脈圧迫試験、深い呼気での息こ
らえ、咽頭粘膜への綿棒刺激、冷水の一気飲みなどの方法があるが、これらは中等
度の吃逆に対しては効果がない。
アシュネル眼球圧迫試験、ツェルマックヘーリング頸動脈圧迫試験
これらの試験は副交感神経を亢進させ、血圧低下、脈拍減少の程度を調べる。自律神経失調症の有無
を調べるための検査で、血圧や脈拍がある一定以上に降下すれば陽性。
②コップ逆飲み療法
コップに水(できれば氷水がよい)を入れ、コップの手前からではなく、向こう
側から飲んでもらう。そのためには、ぐっと前かがみになって息を止めなければな
らない。横隔膜を圧迫刺激するために有効となるのではないか。
③柿蔕湯(していとう):柿の蔕(ヘタ)の乾燥させたものを、煮詰めて服用する。柿蔕は漢
方薬局で購入できる。精神安定剤のニトラゼパムより効果あるという。
4)鍼灸治療
①洞刺
シャックリに対しては洞刺が有効な場合が多い。特に左側が効果的で、洞刺する
と間もなくシャックリがおさまる。
②膻中・至陽・中脘の灸
膻中と至陽は横隔膜に作用する「貫打ちの灸」の関係。中脘は胃逆に作用。この
3穴に其々20~25壮実施。施灸直後は身体が温かくなり気持ち良くなるだけだった
が、2時間後にピタッと止まった旨を報告した。6時間して再発、2回目来院して
コップ逆飲み療法を行なって消失。
かぜ症候群
かぜ症候群の概略
1.かぜの概念
上気道粘膜の急性炎症症候群。病因の90%はウィルス性。その種類(2 0 0種類程度)に
より、罹患季節や症状に違いが生ずる。
ウィルスは低温や乾燥を好み、活動が活発化する。感染力も長期間持続するので、冬
に風邪が流行しやすい。くしゃみや咳により空気感染する。高温が苦手。
2.かぜの分類
普通感冒(鼻かぜ) インフルエンザ
原因種々あり。ライノウィルスが最多インフルエンザウィルス
症状急性鼻炎(くしゃみ、鼻水、鼻閉) 呼吸器症状+全身症状(関節痛、筋肉
全身症状なし。発熱は37℃~平熱痛、消化器症状、悪寒戦慄)。気管支
炎や肺炎を併発し重症化することがある
3.風邪の西洋薬物療法
1)対症薬物療法に否定的なアメリカ医療
風邪の9割り占めるウィルス性のものは抗生物質無効(扁桃炎には有効)。医師が
風邪の時に抗生物質を出すのは、二次的に生じる細菌感染予防のためだというが、抗
生物質は予防は効果がない。