2)インフルエンザワクチン集団予防接種の是非
本ワクチンは、副作用の懸念と流行を阻止できないことから、1994年より任意に切
り替えられ、児童への集団接種はなくなった。しかし老人ワクチンを実施した方が死
亡回避(8割有効)に有効性があるとし、現在は再考が迫られている。
ワクチンは2~4週間間隔で原則2回接種を受ける。費用は1回で3000~6000円。
インフルエンザの治療薬
①リレンザ:1999年12月FDA認可。ウィルスが体内で増えるのを抑える働きをする。ウィルス自体を消去するわけではない。粉末薬で、口から吸入して使用する。発症48時間以内に使用する。病気を治すというより、病気罹患期間を短縮する。
②タミフル:リセンザをカプセル状の内服薬にしたもの。リレンザよりも効果があるが、1 0代の者が本薬使用による、飛び降りなどの異常行動との関連が問題視されている。
かぜの鍼灸治療
1.かぜの鍼灸治療とは
ある著明な針灸家は、「いったい風邪の鍼灸治療というのは存在するのか?」と素朴な疑問を投げかけた。つまり総合感冒治療薬のように、風邪による諸症状緩和の治療を行うことが風邪の治療になる、という意見なのである。
たしかに通常のかぜは、鍼灸臨床的立場からは、発熱+上気道症状と捉えることができる。上気道症状の鍼灸対症治療は、鼻炎・扁桃炎・咽頭炎・喉頭炎の項で説明した通りである。かぜの鍼灸治療効果について、鍼灸家の伝統的見解は次のようになろう。
☆風邪の初期には、風門の多壮灸(20~30壮)
☆風邪のひきにくい身体づくりに効果あり
☆長引くかぜをスッキリと治療できる
☆初期を過ぎた風邪に対しては対症療法(説明済み)
2.かぜの進行期の治療
風邪の経過は、①咽喉痛→②発熱→③くしゃみ・鼻水・だるさ・食欲不振→④治癒と進
行し、治癒までは約1週間を要する。
1)風邪進行期の針灸治療
①咽喉痛→②発熱→③くしゃみ・鼻水・だるさ・食欲不振の時期(5日間ほど)が、
風邪の進行期になる。
この時のかぜの治療は、交感神経を優位にするような施術を行う。換言すれば「身
体に活力をいれる治療」を行う。具体的には「座位にての施灸、針であれば浅針で速
刺速抜」という方法が明らかになっている。熱い湯舟に短時間入るというイメージである。
この肢位にて上気道に対応したデルマトーム(T h1~T h3中心)上の起立筋上すな
わち膀胱経の背部兪穴ラインまたは同じ高さの夾脊にに施術する。
2)風邪回復期の鍼灸治療
風邪の過程の③くしゃみ・鼻水・だるさ・食欲不振の時期→④治癒の期間である。
風邪の治る頃には元気が出て、白血球の顆粒球と常在菌の反応により、硬く黄色い鼻
汁となる。これらは交感神経優位の体調となった結果である。
この時のかぜの治療は、副交感神経を優位にするような施術を心がける。これには伏
臥位にての背部兪穴置針など、従来の鍼灸治療(これまでも無意識的に行われている治
療)でよい。副交感神経を優位に導く治療とは、いうなれば休息を与える治療(=リラ
クセーション)である。ぬるめの湯舟に長時間入るというイメージになる。
星状神経節ブロックによる風邪の予防効果
星状神経節ブロックを30回ほど繰り返すと、風邪をひかなくなり扁桃炎も起こさなくなる。