手関節痛・手指痛
手根骨(計8個)の配列
橈側← →尺側
近位列舟状骨月状骨三角骨豆状骨
遠位列大菱形骨小菱形骨有頭骨有鉤骨
※手関節ROM:掌屈70°、背屈90°
橈屈25°、尺屈55°
狭窄性腱鞘炎
1)手指部腱鞘炎の病態生理
手指に至る腱で手関節走行部付近は腱鞘に包まれ、腱を滑りやすくしているが、腱への
非生理的ストレスや過度の反復運動は、腱鞘の充血や肥厚を生じて腱と腱鞘間の摩擦が強くな
る。その結果、関節運動により腱が動くと疼痛が起こるようになる。
腱鞘炎の好発部位は、手関節の背側伸筋、尺側手根伸筋、長母指外転筋と短母指伸筋
手掌側ではバネ指になりやすく、手背側では狭窄性腱鞘炎になりやすい。
化膿性腱鞘炎:手掌の屈筋の腱鞘には化膿性の炎症が起こることがある。これを化膿性腱鞘炎とよぶ。
この場合には腫脹・疼痛・指の屈曲拘縮が起こる。
2)ド・ケルバン病病態
長母指外転筋と短母指伸筋の共通腱鞘の狭窄性腱鞘炎。腱鞘炎のなかで最も高頻度。
長母指外転筋と短母指伸筋は、外関穴付近の橈側で、蛇頭とよばれる筋隆起を形成する。
蛇頭部に、遍歴(大腸経、手関節の上方3寸)をとる。フィンケルステインテスト陽性
母指を他の4指に包むようにして拳骨をつくり、
小指側に手関節を屈曲させる。この動作で、手関節
橈側に強い痛みが出現すれば陽性。
長母指外転筋、長母指伸筋、短母指伸筋
3)腱鞘炎の鍼灸治療
①腱鞘炎での痛みは腱鞘に起因するが、症状自体は皮膚に放散された橈骨神経皮枝の興奮に起
因する。痛みを訴える部の撮痛点へ局所皮内針が効果的である。
②筋の短縮が改善すれば、腱の伸張ストレスも改善できるので該当腱の中枢側にある前腕部伸
筋の圧痛点への運動針が効果あることが多い。
第2~第5指の腱鞘炎であれば、疼痛部と上腕骨外側上顆を直線で結んだ部伸筋上の圧痛
点を探して運動針を行う。ド・ケルバン病であれば、蛇頭(長母指外転筋と短母指伸筋の筋
隆起。偏歴穴に相当)の圧痛点に運動針を行う。
2.弾撥指(バネ指)
1)病態生理
指を屈曲させる際には、腕の筋が収縮し、その筋から指の末節骨まで伸びた長い腱が腕側に
引っ張られることで可能になる。指に向かう腱は、運動量が大きく力も強大なので、他の組織
との摩擦を防ぎ、滑りをよくするため、遠位中手骨から指先までを腱鞘で覆われている。
それに加えて指の掌側には、要所に腱鞘位置を固定するため、輪状靱帯(=靱帯性腱鞘)が
腱鞘を補強している。