2.結膜炎
感染性とアレルギー性がある。感染症は原則として鍼灸不適で、アレル
ギー性は鍼灸適応。両者の症状は共通なので鑑別は難しいが、季節性のアレ
ルギーは、問診から推定可能である。
1)原因
結膜は絶えず外界にさらされているので、炎症が起きやすい。共通症状は、充血と眼脂。
2)分類
感染性流行性角結膜炎(俗称「はやり目」)アデノウィルス8型の接触感染。
咽頭結膜熱(プール熱):アデノウィルス3型の接触感染。
トラコーマ:クラミジアによる感染症
淋菌性結膜炎(膿漏眼):淋菌による感染症(出産時に感染)
アレルギー性結膜炎
3)アレルギー性結膜炎
原因:アレルギーⅠ型反応。主な抗原は、花粉、ハウスダスト、ダニなど
春期に増悪するアレルギー性結膜炎を、とくに「春期カタル」とよぶ。
症状:眼瞼浮腫、結膜浮腫、充血、流涙、掻痒感。鼻アレルギーを合併することが多い
3.白内障
1)水晶体の症状について
水晶体自身は血管も神経もない。毛様体で産生される眼房水によって酸素と栄養が供給さ
れ、炭酸ガスや老廃物を排泄運搬することにより、その透明性を保っている。水晶体に異常
が起こっても、痛みや炎症が起こることはなく、白濁するのみである。
2)症状:霧視(水晶体混濁による)、羞明(混濁した水晶体の乱反射による)
3)分類
鍼灸臨床で重要なことは、老人性白内障と糖尿病性白内障との鑑別である。40 才以下の白内
障では糖尿病性を疑い、40 才以上では両者とも考えられるので、血糖値を調べる。
①先天性白内障:盲学校生徒の2割が先天性白内障。子供の失明原因とし重要。
②老人性白内障:50才以上の者。圧倒的に多い白内障。
③外傷性白内障:外傷により水晶体に傷がつくことが契機となる。
④糖尿病性白内障:房水も高血糖になり、ブドウ糖からつくられるソルビトールという
物質が水晶体に蓄積され、水晶体は不透明になる。
4)治療:初期には進行予防の目的で薬物点眼治療を行うが、治療効果はあまりない。
進行し生活に支障をきたせば、白濁した水晶体を除去する手術を行なう。水晶体を除去し
た後は強い遠視になるので、眼内凸レンズを入れるのが普通。
4.中心性網膜炎
1)原因
片眼の網膜の中心部(つまり黄斑部)の網膜下に脈絡脈から滲出液(血
液成分)が流れこんで腫脹した状態。
黄斑部は非常にデリケートな構造をしており、過労やストレスが続く
と身体の抵抗力が落ちることが原因。40 才前後に好発。