②副交感神経症状
a.散瞳:瞳孔括約筋麻痺により、瞳孔が大きくなる
b.対光反射消失
毛様体筋麻痺により水晶体を薄くできないので、対光反射消失する。
対光反射と輻輳反射は、一体となってピント合わせを行う。(カメラで近くの物を撮る時、レンズを
絞った方がピント合わせをしやすくなるのと同じ)
この2つの反射の一方が消失すれば、他方も消失するのが普通であるが、同時に消失しない場合には、
次の疾患を疑う。
アーガイルロバートソン徴候
対光反射欠如するが、輻輳反射は正常な瞳孔をいう。中枢性の梅毒疾患に特有な徴候。
中脳の上丘にある第1次視中枢と動眼神経との連絡路の障害による。
対光反射の反射路は、視神経→中脳→動眼神経
一見するとアーガイルロバートソン徴候陽性で梅毒等を疑う場合でも、対光反射が一側性に消失して
いるだけならば、アディ徴候といい病的意義はない。
対光反射輻輳反射
動眼神経麻痺(-) (-)
アーガイルロバートソン徴候(中枢性梅毒時) (-) (+)
アディ徴候一側性に(-) (+)
6.眼瞼下垂
1)上眼瞼の解剖と機能
上眼瞼は表面から順に、皮膚、眼輪筋、眼窩隔膜、眼瞼挙筋、ミュラー筋、眼瞼結膜という層
状の構造になっている。上眼瞼の開閉には次の筋が作用する。
(人体の他部分は皮膚下に脂肪があり、その下層に筋肉がある。上眼瞼はすぐ下にも眼輪筋という筋がある)
眼瞼挙筋(動眼神経) 意志に従い、開眼させる。
開眼
ミュラー筋(交感神経) 驚愕や興奮時、意思とは無関係に少し目を見開く
閉眼眼輪筋(顔面神経) 意志に従い、閉眼させる。顔面麻痺時→兎眼
瞼板とは、上眼瞼中にあるやや硬い組織で、薄く繊細なまぶたを支える基盤としての役割を果
たしている。眼瞼挙筋の下端は腱膜を介して瞼板に付着する。すなわち、眼瞼挙筋は腱膜を介し
て瞼板を持ち上げることで、上眼瞼が上がる。眼瞼内部には眼球表面に油分を供給するための分
泌腺、脂腺があり、睫毛の根元の近くにその開口部が並んでいる
2)眼瞼下垂症の種類
内科的には、動眼神経麻痺、ホルネル症候群、重症筋無力症が重要疾患となるが、眼科的疾
患では腱膜性眼瞼下垂症が重要疾患となる。
①腱膜性眼瞼下垂症
後天性腱膜性眼瞼下垂症の大部分は、眼瞼挙筋と瞼板の接合部が剥がれた状態になる。
剥がれる原因としては、常にまぶたを擦る習癖、コンタクトレンズの常用、事故、老化など
があげられる。腱膜性眼瞼下垂症は程度の差はあれ、多くの老人で起こるので老人性眼瞼下
垂症とも呼ばれている。治療は、外れた腱膜を瞼板の前面の元の位置に固定する手術になる。
視力自体は正常。
先天性の腱膜性眼瞼下垂症は、眼瞼挙筋が線維化し、収縮力が弱くなることが原因である。
治療は、挙筋短縮術。