下腹痛と体壁反応
交感神経骨盤
小腸・虫垂・大腸(下行結腸まで) T10~T12(+)前(-)
S状結腸~直腸L1~L3(-) (+)
小腸から横行結腸は交感神経>副交感神経だが、下行結腸~直腸は交感神経<副交感神経が優位。
大腸の前半は吸収作用があるが、後半は便を貯蔵する意味しかない。
1.小腸、虫垂、大腸(下行結腸まで)の体壁反応
1)交感神経興奮により派生した脊髄神経反応と治療点
交感神経>副交感神経優位なので、上中腹部の治療と同じように考えてよい。
これらの内臓は上腸間膜神経節支配で、T h10~T h12交感神経領域支配である。
この体表領域上に交感神経反応が出現するが、元来交感神経反応は検出しづらいため、
交感神経興奮に引きづられて生ずる同一脊髄分節の脊髄神経反応を診療に用いる。
脊髄神経は体幹背面が胸神経後枝に、体幹前側面が胸神経前枝に支配され、後枝では起立筋部、前枝では腹直筋部から末梢神経枝が深層から体表に出現し、各筋にコリと深部痛が生る。
ただし上記臓器の特徴として脊髄神経後枝反応は現れず、前枝反応のみが現れる。この腹直筋上反応が内臓体壁反射理論による治療点となる
2)小腸、虫垂、大腸(下行結腸まで)の治療
前枝小腸~大腸(下行結腸まで)
Th10~Th12腹直筋
(天枢~帰来)
2.S状結腸~直腸の体壁反応点
1)交感神経興奮により生じた脊髄神経反応と治療点
下腸間膜神経節支配で、かつL1~L3交感神経領域支配であるが反応は弱いので、臨床では重視しない。
2)副交感神経反応と治療点
内臓体壁反射による交感神経反応が、Th1~L3のデルマトームの範
囲内に出現し、胸腰系とよぶ。一方副交感神経を頭仙系とよび、
頭仙系は、頭系と仙骨部系の2つの副交感神経系に区分する。
頭部副交感神経系は第Ⅲ、Ⅶ、Ⅸ、Ⅹ脳神経線維中にあるが、中でも代表的なのは第Ⅹ脳神経である。
副交感神経名称神経線維支配内臓施術部位
頭部副交感神経迷走神経中の副交感神経成分臍から上の臓器耳肺区
仙骨部副交感神経骨盤神経(S2~S4) 臍から下の臓器八髎穴
S状結腸~直腸は、副交感神経優位支配である。副交感神経は特定部位の体壁反射は起
こさない。臍から下に位置する臓器の副交感神経成分は骨盤神経に含まれている。骨
盤神経はS2~S4後仙骨孔から出ているので、その中心であるS3後仙骨孔の中髎
を代表治療点とする場合が多い。