3.酸症状(胸やけ)
1)胸やけの原因
機能性胃腸症の症状の一つとされる。
①食道下部の拡張刺激:風船を食道に入れてふくらませると、胸やけが起こる。
②胃の逆蠕動食道への胃液逆流(逆流性食道炎)
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噴門閉鎖不全(噴門部の神経筋異常)
③胃酸濃度は無関係(かつては胃酸過多で胸やけを起こすと考えられていた)
2)胸やけの鍼灸治療
①胸やけを自覚する部への局所施術
胃酸分泌を減らしたり中和させることが薬物治療の対症治療となる。真因は噴門部が閉鎖しないことであって、これに対する治療は難しい。一方機能性胃腸症として、胃の逆蠕動をコントロールすることで、胃液が逆上しないことを目標にする。
針灸の対症療法としては、どこで胸やけを感じるかを、患者自身の指で示してもらう。すると前胸部中央Th5(食道)の場合と心窩部Th6から上腹部中央Th9(胃)の場合に分かれる。いずれにしても、この反応点である筋コリ・皮膚過敏点に施術する。
②左外腹斜筋起始部への施術
トラベルによると「胸やけする」「お腹が張る」等の症状は腹斜筋上部のトリガーポイント(左不容移動穴)が活性化した時によくみられる症状だという。
トラベル:「この腹斜筋や腹直筋上部に活性化したトリガーポイントがあると、背中の中央付近で強い痛みを感じさせる。ゴルフのスイングをしたり、寝返るなどの動きで背中が痛んだり、背中に強いこわばりを感じたりする」
4.悪心嘔吐
1)悪心嘔吐の概要
嘔吐とは本来は飲食した毒物を、体外に出すための合目的な反射運動であり、その際に生ずる自律神経症状が悪心である。嘔吐中枢は延髄にある。
①中枢性嘔吐(嘔吐中枢直接刺激)
a.嘔吐中枢の物理的刺激
脳圧亢進(脳腫瘍、髄膜炎、脳出血)
大脳皮質興奮(痛み、臭い、光景)
脳圧亢進
頭痛と嘔吐が同時にみられるならば、まず脳圧亢進を疑う。この場合、嘔吐中枢直接刺激するため悪心は伴わない。脳圧亢進を生ずる大部分の疾患は、片麻痺や激しい頭痛(クモ膜
下出血時)などの重篤症状が出現する。ただし脳腫瘍は症状が不定で要注意。
脳圧亢進の三大徴候は、頭痛、嘔吐、鬱血乳頭。
ちなみに、髄膜刺激症状の三大徴候は、頭痛、項部強直、ケルニッヒ
脳腫瘍:嘔吐は1/3にみられる。早朝起こることが多い。
b.嘔吐中枢の化学的刺激
CTZ化学受容体)仲介による。
血中薬物:モルヒネ、ジギタリス、ニコチン中毒、抗癌剤など
体内毒物:尿毒症、肝不全、妊娠悪阻
つわり
成人女性では妊娠6~7週間後につわりが出現する。つわりの強いものを妊娠悪阻という。