②分娩第2期(娩出期)
膣道や会陰が、胎児により伸展されて痛む。体性神経である陰部神経
(S2~S4)の興奮による痛み。
③分娩第3期(後産期):弱い痛みである。
2)和痛分娩の現代医療
腰部の持続硬膜外麻酔が広く行われているが、麻酔医が必要となるため、麻酔医が不要な陰部神経ブロックも行われ始めた。これらの処置で痛みは大幅に軽減されるが、いきむことはできるので分娩時間が長引くことはない。
3)和痛分娩の鍼灸治療
①三陰交の灸
a.助産院に通院中の健康な妊婦137例中、灸治療を希望した48例に対して、
妊娠後16週以降から三陰交へ間接灸(1日1回、1カ所1~3壮)し、分娩時の影響を調べた。その結果、施灸群の方が分娩所用時間は短く会陰裂傷例が少なかった。
b.安産灸として分娩前から実施した三陰交の灸を行うと、分娩時出血の減少が比較的少ないことがわかった。ただし三陰交の取穴が、わずかでも肝経寄りに外れると出血量が多量になる傾向のあることがわかった。なおここでの三陰交の取穴は脛骨後縁ではなく、「脛骨後縁より一筋(3分ばかり)隔てた処」
②仙骨部圧痛点の皮内針
分娩第一期(開口期)の激しい腰痛および下腹痛を訴える30名の産婦について、その
最も痛い場所を指示させ、その付近の圧痛を探すと下図のようになった。これらの圧痛点に皮内針を施すと、30名中24名が産痛の軽減をみた。この皮内針により産痛は直ちに軽減するが消えた痛みは関連痛であり、消えなかった残りの痛みは子宮の内臓痛であろう。
和痛分娩の鍼灸治療の問題点:分娩に伴う関連痛をとる程度の鍼灸治療であれば差し支えないが、分娩中に下腹神経の興奮をとるような治療を行うならば、分娩に必要な子宮収縮が不十分となり分娩時間が長引く結果になる。
4.陣痛遅延
出産予定日になっても、陣痛が来なかったり陣痛微弱の場合、三陰交や至陰に灸をす
ると、陣痛を引き起こすことができるとされる。陣痛誘発剤を使っても陣痛の起きない
患者の場合、灸をすえて陣痛が起きる場合があるらしい。
陣痛誘発剤:オキシトシン(子宮収縮H。下垂体後葉製剤)、プロスタグランジン。
乳房症状
乳汁分泌
1.女性乳房の発達と母乳分泌のしくみ
1)乳汁非分泌期
①思春期:エストロゲンにより、乳管(=母乳の通路)がのびることで、乳房がふく
らみ始める。
②成人:多量に分泌されるエストロゲンにり乳管の成長はさらに促進される。またプ
ロゲステロン分泌によって乳腺葉(=乳汁分泌作用の本体)が発育する。出産が近づくと、乳腺が発達してさらに乳房は大きくなるが、母乳分泌は起きない。
生理前に、乳房が張るのは、プロゲステロン分泌によるもの