2)三陰交皮内針は、下腹痛を軽減する
月経痛の治療で、腰部反応点のみに皮内針治療をすると、たいていは腰痛・下腹痛ともに消失するが、なかには下腹痛のみ残存することがあり、このような場合には三陰交に皮内針を追加することで下腹痛は消失できる
3)三陰交には月経困難症の予防効果がある
20名の月経困難症者に対し、週1回皮内針を交換する方法で、3周期の改善度を調べたところ、著効10%、有効45%、やや有効30%、無効15%となり、半数以上の者に対
して月経困難症を半分以下に抑えることができた。普段体調が良い者ほど効きがよく、治療前の月経困難症の程度が軽い者ほど有効性が高かった。
不妊症
1.定義
3年(2年以上という意見もある)を越えて妊娠しない場合。
正常な夫婦生活では、1年で約80%、2年で約90%が妊娠する。
10組に1組以上の夫婦が不妊症といわれている。
2.原因
不妊の原因は女性側1/2、男性側1 /4、
不明1/4。大部分は機能性不妊症である。
1)女性不妊症
最多は子宮内膜症(1 / 4)、
卵管通過障害、黄体機能不全、
高プロラクチン血症。
2)男性不妊症
大部分は造精機能障害。ほかに精子通過障害やインポテンス。
3.所見
①基礎体温:二相性に分かれ、かつ高温期が長ければ妊娠できる可能性は高い。
低温相と高温相の差は0.3℃以上、また月経開始時に高温相から低温相に顕著に下降す
るのが正常。高温期が10日以内であれば、黄体機能不全を疑う。
黄体機能不全:排卵後に形成される黄体からのエストロゲン・プロゲステロンの分泌不全により、子宮内膜が十分な厚さにならない状態。
②乳房:乳房の発育が悪ければ女性ホルモンの低下の可能性あり。
③乳汁漏:高プロラクチン血症を疑う。無月経や過少月経の可能性。
高プロラクチン血症:催乳ホルモン分泌亢進。
子を産んでもいないのに乳汁分泌がある。授乳状態の体内環境になっているので、生理は停止し、妊娠もしない(不妊症の原因)。性欲低下もする。単なるストレスが原因で生ずることもあるが、下垂体性(下垂体腫瘍、シモンズ病)や薬剤性も多い。
④男性化徴候:全身の発毛状態、声調、体格など。女性ホルモン投与で改善の可能性
がある。
4.機能性不妊症について
1)女性の機能性不妊症
受精卵が着床するためには、子宮内膜の血流量が豊富であることが、妊娠における重要な条件であることが知られている。血流量を減少させる要因となっているのが「ストレス」である。
ストレスがあると、鬱血の増大および末梢循環を減少させ、「冷え」をひどくする元凶となる。冷えが瘀血を生じて、子宮・卵巣・卵管の血流量を減少させてしまうと、おのずと卵胞の発育成熟も遅れて無排卵になる。同時に子宮頸管粘液の分泌機能に障害をきたして授精・着床障害を起こすことも考えられる。
2)男性の機能性不妊症
男性不妊症の原因として、特発性(=原因不明の)造精機能障害があり、効果のある治療薬もない。ただ末梢血管を拡張させ、血流量を増加させる薬剤は、男子不眠症患者の可能性があるとする見解がある。