3)分類
内リンパ水腫が内耳の中の蝸牛あるいは前庭に限局性に生じることもあるとされ、それぞれ
蝸牛型メニエール病、前庭型メニエール病とよばれる。
蝸牛型メニエール病:めまいを伴わずに難聴と耳鳴りだけが反復。
前庭型メニエール病:では難聴や耳鳴りを伴わずにめまいだけを繰り返す。
4)慢性メニエール病
メニエール病の活動期と安定期を長期間繰り返しているうちに、症状か慢性化する状態である。めまい発作を繰り返すうちに、ライスネル膜は厚くなるので、膜の破綻は起きにくくなるが、内外のリンパ圧が違うことで、コルチ器が正常に機能せず、持続的な難聴・耳鳴を生ずるようになる。
めまいの発信源となっている前庭器官は機能低下を中枢が代償するようになるので、めまい発作は起こらなくなる。
機能低下は蝸牛管にも起こり、蝸牛管は、その機能を代替できる器官がないため、慢性メニエールでは、恒常的な難聴(感音性)・耳鳴りが主訴となってくる。
5)現代医学治療
①非発作時の治療:脱水目的で、浸透圧利尿剤グリセオール投与
②発作時の治療:重曹水(炭酸水素ナトリウム希釈液商品名:メイロン)の静脈注射で速効。
メイロンの作用機序は、血中の炭酸ガス増加による血管拡張および高浸透圧(血液の約3倍)による血液量増加で内耳血流が改善するためとされている。
③中耳腔内ステロイド注入療法
舌咽神経の枝である鼓室神経は、鼓室粘膜に分布している。鼓膜へのステロイド注入は、内耳に起因するめまいや耳鳴、ときには難聴に対しても効果ある。
4.良性発作性頭位めまい
1)原因
耳石器が老化(=カルシウム不足)によりもろくなり、耳石片が剥がれて三半規管
の中に混入し浮遊するために、頭が動くたびにリンパ液の流れ方に異常が生じてしま
う。この耳石器からの誤情報と眼からの情報にズレが生ずると、激しい回転性めまい
が生ずる。
頭を動かすたびに目まいが起こるので不安感や恐怖感が起こり、本人は非常に疲れる。高齢者に多い。回転性めまいで最も高頻度(めまいの8割)。放置すれば2週間~1ヶ月結石が融解し、自然治癒する。
2)症状
①一定の頭位によって発作性の回転性めまいが誘発され、30秒ほどすると自然消滅。
②難聴・耳鳴は随伴しない。
③減衰現象(+)(ある特定の方向を向いて、数秒後にめまいが出現するが、これを繰り返すうちに、めまいが弱くなってくる)