3)所見
めまい発症時は眼振(+)。
頭位眼振(+):仰臥位で顔を左右に向かせた際、水平眼振が誘発される。
垂直性眼振では中枢性のめまいを疑う。危険なめまいのサイン。
R/O 小脳性めまい:小脳が障害されても、良性発作性頭位めまい様の症状が起こる。この原因として、老化や外傷、長年の大酒による小脳の萎縮、脳血管障害、脳腫瘍があげられる。動的平衡障害出現し、指-鼻試験が陽性で小脳異常の有無をチェックすること。
4)治療:予防には骨粗鬆症治療薬(ベネット錠など)が有効。エプリー法を行うこ
ともある。
エプリー法:遊離した耳石片を、所定の位置に戻すための徒手矯正手技で、90%以上有効。頭位がベットからはみ出すように横になって、めまいがする頭位をとる。しばらくしてからゆっくりと、頭位が仰位から135度の位置になるまで、頭・体幹の順に回転させる。この動作により半規管内にある浮遊物が耳石内に戻る。
5.頸性めまい
1)症状
頸部筋の過緊張等に由来したフラフラ感で、非回転性めまい。頸部の回転または伸展によりフラッとる。歩行時にフワフワして足が地面につかなきような感じ、真っ直ぐに歩くつもりでも、片一方に寄ってしまうような感覚などを生ずる。
2)病態生理
頸部の筋・椎間関節問題、頸部交感神経緊張との関係、椎骨動脈血流不全との関係が想定されている。詳細は、後述の「頸性めまいの針灸治療」の項を参照のこと
3)所見
①高率に首コリの訴えが随伴しているほか、不眠・頭痛・ストレスなどの不定愁訴が多い。
②頸部神経根テスト(ジャクソン、スパーリング)が陽性化していることがある。
③仰臥位で、頸を左右に向かせると、眼振出現することがある。
難聴・耳鳴の鍼灸治療
1.鍼灸適応となる難聴・耳鳴
①鍼灸に来院する患者
難聴・耳鳴を訴える患者は発症すると、まずは近くの耳鼻咽喉科に受診して治療を受けるが、突発性難聴を例外とすれば、あまり効果のない場合が多い。突発性難聴は、細胞の虚血による壊死が起こる以前である発症後1週間が重要で、星状神経節ブロックやステロイド点滴注射、高圧酸素療法が行われ、1/3は有効、1/3はやや有効、1/3は不変といった効果になる。針灸来院患者は、必然的に耳鼻科治療で治らなかった難聴・耳鳴を取り扱う結果となり、それも発病後数年~十数年といった、陳久性のものが来院することが多い。
②治る耳鳴りと治らない耳鳴
一般に耳鼻科医が行った診断で、中耳炎後遺症による耳鳴であるとか、突発性難聴後遺症による耳鳴などように、耳鳴を生じることに妥当性のある診断名であるならば、鍼灸治療が無効となるケースが多い。
その一方で、診断名の定まらない耳鳴においては、針灸で打つ手がありそうに思う。そしてこのタイプの多くが、頸や顎の関節症に由来するものだと考える。針灸が有効となる耳鳴は、首の動きや顎関節の動き(口の開閉など)により、耳鳴りの音調が変化するタイプである。