4.平衡障害の検査
メマイは入力系障害の結果としておこる自覚症状なので客観的な評価は難しい。一方、前庭神経核からの出力系障害を平衡障害とよび、平衡障害は次のような前庭反射を引き起こすので、客観的に評価できる。前庭反射で臨床上重要なのが前庭-眼反射と、前庭-脊髄反射である。
1)前庭-眼反射
動眼神経の混乱による眼振(ニスタグムス)。
眼振は、三半規管や耳石器内のリンパ液の動きと同調している。
前庭眼振は水平眼振となる。垂直眼振であれば中枢性疾患を疑う。
2)前庭-脊髄反射
身体のバランスをとるために、全身骨格筋の緊張を変化させている。脊髄性運動失調で異常
となる。
①ロンベルグ試験
第1段階:開眼で両足をそろえ、爪先を開いて起立させて身体動揺の有無を調べる。
この状態では、視覚と関節位置覚(脊髄後索を伝わる)の具合を診ており、どちらか
一方が正常でも平衡を保つことができる。
第2段階:次に閉眼させ、再び身体動揺の有無を調べる。この状態では視覚情報がカットされ、関節位置覚のみを診ている。
小脳失調:第1段階自体ができない。
脊髄後索障害:第1段階は可能だが,第2段階のテストで途端に患側方向に倒れる。
内耳迷路障害:第1段階は可能。第2段階のテストでは、ゆっくりと倒れるが、頭
位による影響を受けやすく、頭を前屈したり側方に向けたりすると倒れる方向が変化する。
②マンの検査:両足を前後に一直線上におき、爪先と踵を接して立ち、動揺性の有無を調べる。
次に閉眼して再び身体動揺の有無を調べる。
③直線歩行試験:目を閉じて10mの直線コースを歩く。1m以上偏倚すれば異常。
④足踏み試験:直径40㎝の円の中央に立たせて閉眼させ、足踏みさせる。何回目で円外に足が
出たかを記録。
3)前庭-自律神経反射
悪心嘔吐、冷感、心悸亢進などの迷走神経症状をきたす。乗り物酔いや、汚物を見た際に生ずる吐気などで生ずる。前庭-自律神経反射は診断には用いない。
耳痛と鍼灸治療
1.耳痛をもたらす代表疾患
耳痛が生じる部位は外耳と中耳であり、内耳には痛覚がない。知覚神経支配部における炎症、圧迫、腫瘍などで痛みが起こる。耳痛を生ずる代表疾患の鑑別は次の通りでる。
激しい耳痛:耳介牽引・圧迫で痛み増悪する:急性外耳炎
しない:急性中耳炎
耳周囲の圧痛+ 耳漏+ 難聴(伝音性):慢性中耳炎
急性外耳炎急性中耳炎慢性化膿性中耳炎
原炎症、外耳の外傷部細菌感染。細菌は鼻→ 急性中耳炎からの移行。(身体の抵抗力が
因分から細菌感染耳管から中耳に侵入。弱っている時や細菌の毒が非常に強い場
(海水浴やプール) 上気道感染に続発。合、急性中耳炎時の手当て不良時など)
症強い耳痛。強い耳痛。中耳粘膜は肥厚し肉芽増殖し、含気腔の容状耳介牽引や耳孔圧迫小児では発熱、軽度難積が狭まる。耳小骨も破壊。
所で痛み増悪。聴(中耳内に膿が蓄ま鼓膜穿孔中等度難聴見慢性では強い掻痒感るため)。外耳道から易感染
鼓膜の発赤と隆起。耳粘膜炎症耳漏
耳管狭窄→伝音性難聴
側頭~側頸のコリ感
治排膿すれば治癒抗生物質。鼓膜切開。炎症を消退させるだけならば保存療法
療鼓膜切開すると内圧が、鼓膜穿孔を閉鎖し、聴力改善させる
予減るので、即座に鎮痛には、鼓室形成術(鼓膜、耳小骨の再建)後し、排膿もされやすい。が必要。