②難聴の基準
正常0~25dB 聞こえに問題はない
軽度25~40dB 小声だと聞き取りにくい
中度40~70dB 普通の声だと聞き取りが困難
高度70~90dB 耳元の大声から聞こえる
聾90dB~ 殆ど何も聞こえない
③難聴の型
右に左耳感音性の軽度低音域障害の一例を示した。
他にも、山型、谷型などがある。
谷型は、人間の音声の大部分がこの波長帯なために会話が聞き取れず、日常生活上苦労する。
山型は、音楽関係の仕事従事者には支障が大きいといえる。耳鳴りや音のこもる感じなどの違和感が谷型より強い傾向がある。
2)伝音性難聴と感音性難聴の鑑別の検査
耳鼻科以外では、音叉を使って次のような簡易検査を行うことが多い。
①Weber(ウェーバー)テスト
方法:振動させた音叉を前額中央部にあて、振動がどちらに強く響くかを聞く。
評価:骨導聴力を調べている。正常では音は正中で聞こえる。一側の伝音性難聴では、代償的に患側蝸牛の感受性が高まっているので、音は患側に偏倚して聞こえる。
へんい一側の感音性難聴では、患側の蝸牛が音を捉える能力が低下しているので、音は健側に片寄って聞こえる。
②Rinne(リンネ)テスト
方法:振動させた音叉を乳様突起上におき、骨からの振動が消えたあと、音叉をはずして耳孔4~5㎝のところにおく。そしてなおも音が聞こえるかどうか検査する。
評価:正常では気導聴力>骨導聴力なので、本法で聞こえる。これをRinne(+)とする。
中耳障害や外耳道の閉の場合は気導<骨導となるので、耳孔に持っていっても聞こえ
ずRinne(-)となる。正常者や感音性難聴ではRinne(+)。
③リクルートメントRecruitment(補充現象)
閾値上の音を次第に大きくしていくと、音の大きさの感覚がある時点で急速に増大してビンビンと響くようになる現象。感音性難聴は、さらに迷路障害と中枢神経障害に分かれるが、リクルートメント(+)は迷路性難聴のサインである。
正常者伝音性難聴感音性難聴
リンネテスト陽性陰性(骨導>気導) 陽性(気導>骨導)
ウェーバーテスト偏倚しない患側に偏倚健側に偏倚へんい
リクルートメント(検査をしない) 迷路性(+)中枢性(-)
耳鳴
1.耳鳴の原因
耳鼻科通院の主訴として最も多いのが耳鳴であるという。耳鳴は自覚症状(難聴と違い、客観
的な把握が困難)であり、病態生理も完全には解明されていないが、つぎのような見解がある。
①蝸牛の外有毛細胞が、炎症・循環障害・薬物障害・加齢などで変性することが誘因。
②蝸牛の外有毛細胞の振動(2万回/秒)の音に対する過敏(非病的)。
誰しも、就寝前などの静かな場所で、一過性に強い耳鳴を感じることがある。
③内耳からの信号を脳内で独自に増強し、やがて不安・不快・焦りといった感情と結びつくこ
とによって慢性耳鳴が生じる。耳鳴→気になって不眠→不安→耳鳴増強とった悪循環。