③現代医学治療
・副交感神経亢進状態の是正目的で実施する仙骨神経ブロック(仙骨裂溝すなわち長強穴か
ら仙骨管に薬液注入)
・膀胱の感覚神経過敏是正目的で行う膀胱三角部粘膜へのレーザー焼灼
④鍼灸治療
現代医学的治療を参考に、針灸では八髎穴への針灸が考えられる。慢性症なので、この
部への自宅施灸3ヶ月程度は必要である。
4.急性腎盂腎炎
1)病態:上行性感染が主(細菌おもに大腸菌が膀胱だけでなく、上行して腎盂に到達)。
女性に多い。俗にハネムーン病ともよばれる
2)症状:①悪寒発熱(39℃台)、腰痛
39℃台の発熱では、扁桃炎か腎盂炎をまず疑う。
②膀胱炎症状(頻尿、尿混濁)
3)治療:抗生物質、保温、安静。水分を多めにとる。数日間の入院が必要。
5.尿道炎
1)病態:尿道の細菌感染。女性に多い。
昔は淋菌性が多かった。最近ではクラミジア(非淋菌性)が増加。
淋菌性もクラミジア性も、ともに性病。
2)症状:激しい排尿時痛(膀胱や尿道に収縮拡張が起こる時の痛み)
尿道口から分泌物排泄 排尿開始時痛を緩和するため、湯の中で排尿する
3)尿道炎の鍼灸治療:尿道炎の痛みは膀胱炎の治療と同一でよい。
6.急性前立腺炎
1)前立腺とは
前立腺は膀胱の出口に尿道を取り巻くように存在する。こ
こには精漿をつくる精嚢と、睾丸から精子を運ぶ精管とがつ
ながっている。精子と精漿は前立腺で一緒になり、精液とな
り尿道から排出される。
2)病態:感染菌が尿道より逆行性に前立腺に侵入。
淋菌性が多い。男性のみの疾患。
3)症状:直腸内不快感、会陰部疼痛、排尿終了後痛、膿尿
4)治療:抗生物質
7.慢性前立腺炎
1)病態
急性前立腺炎では細菌性であるが、慢性前立腺炎は非細菌性である。
2)原因仮説
尿流動態の異常(内尿道口の狭窄、外尿道括約筋の筋トーヌス増大)→排尿障害
骨盤底筋の過緊張
骨盤内静脈鬱帯
3)症状
前立腺に由来すると考えられる頻尿、排尿痛、排尿時不快感、残尿感、下腹部~
会陰部~鼡径部の不快感など多彩な訴え。
高橋クリニックH P(高橋知宏医師)によれば、慢性前立腺炎は前立腺(T h 1 0~T h 1 1
とS2~S4)だけでなく、膀胱(L1~L2とS2~S4)や尿道(S1~4)
症状が出現することもあるとし、広義には前立腺の内臓体壁反射や関連痛として把握
できると記している。
4)現代医学治療
慢性前立腺炎は西洋医学でも手こずる疾患であり、薬物療法は無効であるか効果が
あっても再発する例が多い。
恥骨部痛:L1~L2、S2
(膀胱出口+前立腺の感覚)
尿道痛: S1~S4(前立腺感覚)
睾丸痛: Th10~Th12(前立腺感覚)
肛門・直腸痛:S2~S4(ほぼ前立腺感覚)
大腿しびれ、痛み:L1~L2、S2
(膀胱出口と前立腺感覚)
足裏のしびれ、痛み:S1~S2
(尿道+前立腺感覚)
腰痛:L1~L2(膀胱出口感覚)
背部痛:Th10~Th11(前立腺感覚)
射精時の痛み、射精後の痛み:S1~S4
(ほぼ尿道+前立腺感覚)