髄膜刺激症状
物理的要因や感染で、脳脊髄液が刺激されると、髄膜刺激症状を生ずる。髄膜炎、クモ膜下出 血などで陽性。髄膜刺激の3大症状は、頭痛・項部強直・ケルニッヒ徴候である。これが全身に およべば後弓反張であり、破傷風で出現する。
項部硬直:頭部を高く持ち上げると、髄膜が伸展されて刺激される。感染などで髄膜が過敏になっていると、 これ以上脳髄を刺激しないようにするため、反射的に筋肉が働き、項部硬直として現れる。
ケルニッヒ徴候:仰臥位で膝を伸ばしたまま下肢を挙上させると、膝折れが生ずる徴候。
ブルジンスキー徴候:仰臥位。患者の頭を他動的に挙上させると、股と膝が屈曲する。
脳圧亢進症状 きまった体積しか入らない頭蓋内に、新たな物質が加わると、脳脊髄液と脳実質に高圧力が加 わり、脳圧亢進症状として病的状態になる。その3大症状は、頭痛・嘔吐・鬱血乳頭である。 脳圧亢進をきたす疾患には、水頭症、脳脊髄膜炎、脳出血、クモ膜下出血、脳腫瘍などがある。 鬱血乳頭:視神経が眼底に首を出している部分(乳頭)が、赤く腫脹し周囲の網膜より隆起。 牽引性頭痛:頭蓋内血管の牽引による頭痛。頭蓋内圧の変化や血流の変化により生ずる頭痛。
大後頭神経痛
1)大後頭神経は、第2頸神経(C2神経)後枝の別称。混合性の神経。 2)C1C2椎体間(下天柱)から起こり、下頭斜筋の下縁に出て、内側上方に向かって走り、 深頚筋に運動枝を与えた後、頭半棘筋、及び僧帽筋を貫いて後頚動脈とともに走り、 上項線の辺(=玉枕)で皮下に現れ、後頭部から頭頂(百会あたり)に至る皮膚の知覚を司る。 3)項部から頭頂部にかけての表在性の痛みが生ずる。髪を触ったり、ワレーの圧痛点を押圧 すると痛み誘発。非誘発時には無症状。 4)ワレーの圧痛点 実際には、後頭神経痛が引き金になって生じた緊張性頭痛の方が非常に多い。後頭神経痛は症 候名であり、診断的には緊張性頭痛に含まれる。 最近、頭頂部において、大後頭神経の末端は、三叉神経第Ⅰ枝(眼神経)末端と吻合していることが知られ るようになり、大後頭神経痛が眼痛や顔面への放散痛の原因となることが指摘できるようになった。このこ とは、「眼科症状」の章で述べる「大後頭三叉神経症候群」と相まって、頸痛と眼痛間に密接な関係があるこ とが知れる。
2.小後頭神経痛
1)小後頭神経は、頸神経叢(C2C3頸神経前枝)から出る。後頭部のを上行する。知覚性の神経。 ※。 2)小後頭神経痛では、頭部胆経領域すなわち、項部~側頭部~耳部の表在性(チクチク、ビリ ビリ)の痛みが生ずる。 3)ワレーの圧痛点
大後頭神経痛は混合性神経なので、項部のコリを生ずるが、小後頭神経は知覚性なので 項部のコリは生じない。