眼瞼痙攣
眼瞼痙攣となる疾患には、①顔面痙攣の初期、②眼瞼ミオキミア、③本態性眼瞼痙攣がある
眼瞼ミオキミア
①病態生理と症状
眼瞼ミオキミアはまぶたの一部(下眼瞼が多い)が痙攣する。一方、本態性眼瞼痙攣は両 眼の上下眼瞼とも等しく痙攣する。 ミオキミアは不規則で持続時間が長い小さな不随意運動で、自覚的にはピクピクとした感 じが一般的である。下位運動神経に異常な電気活動が生じるため、その支配下にある筋線維 が安静時に群発して興奮することによって起こるとされる。これが眼輪筋で起こると、眼瞼 ミオキアになる。顔面神経が支配する眼輪筋の一部に異常な興奮が発生することで生じる
②原因
健康な人でもワープロやパソコンの長時間操作などがもたらす眼精疲労や、寝不足の際に 一時的に感じられることがある。ただし、脳幹部の腫瘍や炎症、多発性硬化症、外傷による 顔面神経損傷の後遺症なども原因になる
本態性眼瞼痙攣
①原因 多くの報告から大脳基底核の運動制御システムの障害であるとされる。間代性・強直性の 攣縮が両側の眼輪筋に痙攣が起こる。40歳以降の女性に多い。 大脳基底核=大脳皮質の底にある白質中の灰白質部分。随意運動の発現と制御の役割
②症状 初期はまばたきが多く、目が開けにくい、まぶしいなどの症状があり、眼がショボショボ するのでドライアイと誤診されやすい。両側性に、羞明感、目の乾燥、目を開けていられな い、下眼瞼のピクピク感といった症状が現れ、次第に上眼瞼に拡大。左右両方に進行性の眼 瞼痙攣が出現し、重症の場合には、開瞼障害をきたして、視力があるにも拘らず生活上は盲 目と等しくなることがある。進行は緩徐だが、自然軽快はまれ
①前頭筋(額に横シワをつくる) ②皺眉筋(眉間の縦シワをつくる) ③眼輪筋(閉眼) ※眼を開けるのは上眼挙筋(動眼神経) ⑥口輪筋(口笛) ⑨頬筋(頬ふくらまし、頬側面の食 物を追い出す) ⑩笑筋(口角を外方に引きエクボを つくる) ④上唇挙筋・泣く:上唇・鼻翼を引き上げる) ⑤小頬骨筋(泣く:上唇・鼻翼を引き上げる) ⑦大頬骨筋(笑う:口角を外上方に引き上げる)
顔面麻痺の評価法 顔面麻痺の評価として、「40点柳原法」が広く普及している。顔面の主な表情を10カ所 選び、4点=健側と明らかな差がない、2点=筋緊張と運動性の減弱、0点=喪失とする。 30点以上は正常、8点以下を完全麻痺と評価する