化膿性関節炎 細菌感染による関節炎で、大部分は関節穿刺後に起こる。急激な疼痛、発赤、腫脹、熱感、 運動制限などがみられる。悪寒発熱出現。関節部への直接的な抗生物質投与が必要である。
鍼灸における膝関節痛の適応は、変形性膝関節症(OA)と、スポーツでの使い過ぎ症候群 (Over use 症候群)であろう。膝内障の軽度なものも鍼灸適応
<膝関節痛の鑑別診断> 突然の発症(発症のきっかけが明瞭)、激痛か?→ Yes:膝内障 ↓ No 膝関節の熱感、発赤あるか?→ Yes:化膿性関節炎など ↓ No 同一姿勢保持による膝蓋骨内側の鈍痛→ Yes:タナ障害 ↓ No 40 才以下か?→ Yes:膝酷使のスポーツ時痛か?→ Yes:オーバーユース症候群 ↓ No ↓ No 膝蓋骨軟骨化症、膝蓋靱 帯炎 膝OA オスグッド病鵞足炎側副靱帯損傷 平泳ぎ膝 (疼痛部位で鑑別する) 膝内障の鑑別内側:マックマレー外旋、ステインマン外旋、 アプレー圧迫 半月板損傷外側:マックマレー内旋、ステインマン内旋、 前:前方引き出し、ラックマン 十字靱帯損傷後:後方引き出し
鍼灸適応の膝痛疾患 使い過ぎover-use 症候群平泳ぎ膝 ジャンパー膝(膝蓋靱帯炎) ランナー膝膝蓋骨軟骨化症 鵞足炎 腸脛靱帯炎
膝蓋骨軟骨化症
1)病態
ランナー膝(長距離ランニング等によって発生した使いすぎover-use による膝の障害)の 代表的疾患。スポーツをしている十才台の女子に好発。 膝蓋骨の軟骨と、それに対する大腿骨の軟骨が作 る関節を、膝蓋大腿関節という。膝蓋骨の裏面はV 字型に隆起しており、それが大腿骨のV字型の溝を 滑走するが、この時かなり大きな圧力を受ける。(体 重60Kg の人が深くしゃがみ込む場合、膝蓋骨の軟骨 には420kg の圧力が作用する)。 膝蓋骨裏面の軟骨は、日中活動すれば軟骨はやや摩 耗し、夜間就寝中に軟骨は元の状態まで増殖することで恒常性を保つが、膝の過使用でこのバ ランスが崩れ、膝蓋骨裏面にある軟骨が毛ばたつような形になり、軟骨面が凹凸を形成する。
2)症状・所見
階段や坂道の特に上るとき、立ち上がるときに起こる膝蓋骨の裏やその周囲の痛み。 膝蓋骨圧迫テスト(+):膝蓋-大腿関節の変形をみるテスト。 膝蓋骨を圧迫しながら、上下左右に動かした際、関節面が 変形してるため、膝蓋骨底の捻髪感(ザラツキ感)を感じ る。多くの場合は、その際に被験者は痛みを感じる。 膝OAのほか、膝関節軟骨化症でも陽性となる。 ※膝蓋骨圧迫テストで、膝蓋骨を下に圧迫した際の、被験者が痛み を感じる機序は明らかではない。大腿膝蓋関節も関節包内にある が、この手技では関節包の直接刺激にも骨膜刺激にもならないからである。 一方、膝蓋骨を上下に動かした場合の痛みは、四頭筋-膝蓋骨-膝蓋腱-脛骨粗面という一連の構造 物の連絡に障害があることを示唆し、これら構造物のつなぎ目に圧痛を多く認める。その障害の主因は 大腿四頭筋の過緊張にあることが多い。大腿四頭筋が緊張することで、膝蓋骨と腱の付着部に慢性的な ストレスが加わり、痛みが生じたと考えられる。←筋腱付着部症
3)鍼灸治療 大腿四頭筋の緊張緩和することで、膝蓋大腿靱帯に加わる圧力を弱める目的で、四頭筋の膝 蓋骨付着部や四頭筋モーターポイントへ刺針する。滑液は関節包内層の滑膜から分泌される が、針灸刺激で滑膜を刺激して滑液分泌を促す期待から、大腿膝蓋関節の関節裂隙 に刺針することも多い。いずれにせよ針灸治療が効果的な疾患である