NSAIDs
非ステロイド性抗炎症薬の総称。抗炎症作用、鎮痛作用、解熱作用を有する薬剤の総称で、広義にはステロイドではない抗炎症薬全てを含む。一般的には疼痛、発熱の治療に使用される「解熱鎮痛薬」とほぼ同義で用いられている。非特異的副作用として胃腸障害、腎障害、肝障害、呼吸器障害、循環器障害などがあり、使用に際しては上記の疾患を有する者や妊婦の場合医師と相談してもらう事を推奨する。
受容器
様々な感覚神経の末梢に存在して、温冷覚や触・圧覚などそれぞれの刺激や物質を感じ取って反応するニューロンを受容器という。受容器の表面にあるセンサーを受容体といい、特定の因子と結合する構造蛋白分子の事である。受容体を刺激する物質をアゴニスト、抑制する物質をアンタゴニストという。特定の因子により反応した受容体が電位を発生させ、それが受容器から神経へと伝達されていく。 運動器の痛みに関しては侵害受容器が関係しているというのが現代医学における通説であるが、、機械受容器が関係していると現段階では考えている。
マスキング
痛みをより強い痛みが覆い隠す現象。AとBの痛みが存在するが、より強いAの痛みしか脳に自覚されない。強い坐骨神経痛のみを主訴としていた患者の坐骨神経痛が改善するにつれ腰痛や肩こりを自覚するようになったなどは、臨床上よく経験する事である。
引き込み現象
最初に多裂筋が発痛し、腰部に自覚的疼痛が生じると、次に腰方形筋、大殿筋が発痛しても腰部の同じ所に痛みを感じてしまい、自覚的には同じ腰痛が続いているだけである。治療過程でしか判明しない事実だが、結構よく観察される。この様に、最初の感覚部位がアトラクタとなり、他の感覚部位が引き込まれ、同調してしまう現象を「引き込み現象」と呼ぶ。こうした神経の振る舞い(カオス的挙動)は膨大なネットワーク素子をもつ脳の中で起こっているとしか考え様がない。
筋硬結
触診で検出される筋のロープ状の硬い部位を索状硬結と呼び、トリガーポイントの指標の一つとされている。 日本では辻井洋一郎教授の創始した「(旧)マイオセラピー」や、医師の行うトリガーポイント注射において「トリガーポイント=筋硬結である」という考え方もあるが、 「トリガーポイント=筋硬結ではない」と考える。 硬結を持った筋線維の筋・骨/腱・骨接合部や、硬結縁・筋縁最深部の筋外膜・筋周膜に トリガーポイントが形成される事が多いが、硬結=トリガーポイントではない。収縮による 機械刺激が頻回に及べば、一方で受容器を過敏化し、もう一方では硬結を形成する。受容 器が筋線維ならば、「過敏化した受容器は硬結である」かも知れないが、受容器と筋線維は 同じではない。
軟部組織(筋膜・骨膜・腱・靭帯など)が感作され、発痛すると硬化するが、同様に理解される